ナスダックに上場したミスフレッシュの株価は、IPO価格から25.7%も急落し、9.66ドルで取引を終えた。同社は今月、1株13ドルでADR(米国預託証券)を売却し、2億7300万ドルを調達していた。
ミスフレッシュの創業者でCEOの徐晶(シュー・ジェン)は、北京のコンピューターメーカー「レノボ」の長年の幹部であり、2001年から2012年までノートブック事業グループを率い、その後は、2014年にミスフレッシュを設立するまで、レノボの食品部門ジョイビオのフルーツ事業のゼネラルマネージャーを務めていた。「レノボの幹部たちは、私が自分の会社を立ち上げる夢を持っていることを知っていた」と徐はインタビューで答えている。
徐は、中国の大都市における人口の増加と所得の向上が続いていることから、食品のEコマースやデリバリー事業に期待を寄せている。「大都市はメガシティになり、人々はクオリティの高いサービスを求めている」と彼は述べている。
現在40歳の徐は、ミスフレッシュの成功の要因が同社の長期的な視野にあると考えている。同社の目論見書によると、中国の近隣小売市場は2020年に11.9兆元に達し、そのうち生鮮食品が5.0兆元を占めるという。2025年にはさらに15.7兆元まで拡大すると予想されており、そこで最大のグループとなるのが食品だ。
しかし、ミスフレッシュの第1四半期の財務状況は、1年前と比べて悪化した。2021年第1四半期の売上高は、前年同期の16億9000万元から15億3000万元(約258億円)に減少し、損失も前年同期の1億9460万元から6億1030万元に拡大した。同社は、アリババやJD.comなどのライバル企業との熾烈な競争に直面している。
それにもかかわらず、ミスフレッシュは約20年ぶりのIPOブームに沸く米国市場に上場した。ルネッサンス・キャピタルによると、4月から5月にかけて米国では113件のIPOが実施され、調達総額は399億ドルに及んだという。
米国でここ最近IPOを実施した中国企業としては、中古スマホ売買の「愛回収(aihuishou.com)」や、IoTソリューションの「Tuya Smart(塗鴉智能)」、トラック版ウーバーの「満幇集団(英語社名:フル・トラック・アライアンス)」、人材マッチングサイト「BOSS直聘(BOSS Zhipin)」の持ち株会社の「Kanzhun Limited」などがあり、Didiも間もなく上場する見通しだ。
徐は、資金調達により投資家と共通の認識を持つことで、長期的な関係を構築できると述べている。ミスフレッシュの7%をテンセントが保有している。しかし、同社の長期的発展を確実にするためには、投資家とのコミュニケーションをさらに活発化させる必要があるかもしれない。