米国医師会雑誌(JAMA)のオープン・アクセス・ジャーナル「JAMAネットワーク・オープン」に先日掲載された研究によると、黒人の新型コロナウイルス感染症患者は年齢や基礎疾患、社会経済的特徴などの要素を考慮した結果、死亡するか、病院に入院してから30日以内にホスピスに送られる確率が白人よりも11%高かった。
研究者らは、41州の約1200の病院から集めた4万4000人以上のデータから、こうした違いが生じている原因は黒人と白人の患者が入院した病院の差によってほぼ完全に説明できると述べている。
研究者らは「貧しい地域にある病院は患者の医療費支払者の構成やコミュニティーの資源格差により経営状況が悪く、提供される医療の質が低い場合が多い可能性」があることが、格差の原因かもしれないと示唆している。
この調査結果からは、構造的な要因が米国に住む黒人の健康に非常に大きな影響を与えていることが改めて示されていると研究者らは述べている。また、病院の人種格差を是正し、黒人コミュニティーに医療を提供する病院の質と資金調達を改善することで、偏った死亡率が改善される可能性があると補足した。
入院と州の関連性から、研究者らはこの人種格差が「病院レベルというより州レベルで生じている」可能性があると指摘。この点はさらなる調査が必要で、解決には州全体にわたる改善措置が必要かもしれない。
同調査では、黒人の患者が白人の患者と別の病院に入院した理由については考察されていないものの、研究者らは「貧しい地域の経済状態は厳しく、提供される医療の質が低い可能性がある」と示唆した。さらに、黒人と白人の患者間における病院への紹介方法の違いも格差を生んでいる可能性がある。
研究者らは同調査について「これまでで最大かつ最も包括的な米国の病院のサンプル」と主張しているが、対象は一つの保険業者のメディケア・アドバンテージ利用者に限定されていて、結果にゆがみが生じている可能性がある。