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「104」と書いて「とうし」と読む。一見ふざけた名前の謎の組織が立ち上がった。次代を担う20代がオンラインで集結し、今回が第1回目だという。どうやら何かのサークルではないことは確かだし、趣味の会合という雰囲気でもない。メンバーを見回すと、在籍する企業やバックグラウンドもさまざま。彼らが理想の未来へアプローチするために始めたこととは?


業種バラバラ、18人の20代が集まって、何をするつもり!?


「20代104(トウシ)会議//104consortium」の記念すべき第1回は、5月26日にオンラインで開催された。リアルタイムで接続したメンバーは18人。画面越しからも感じられるメンバーのポジティブな空気感は、開催前から積極的に参画しているからなのだろう。アイデアを出し合いながら決定した会議名。そして、そのロゴデザインもメンバーのひとりであるグラフィックデザイナーの一森加奈子が担当しているのだ。


104の0の部分が吹き出し風にデザインされた20代104会議のロゴ。

メンバー構成は、男性11人女性7人。りそな銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行などの銀行から、セゾン投信、エポスカードを展開する丸井グループ、金融以外の電通、住友林業、インフラ系の東京ガス、さらに金融庁など、多種多様な勤務先から参画した顔ぶれは、まさに異業種格闘技の様相だ。

メインスタジオでは、Creative Project Base・倉成英俊が進行役を務め、アソシエイターとしてシンクタンク・ソフィアバンクの藤沢久美、メディアとして「Forbes JAPAN」編集長・藤吉雅春が同席し、会議は緩やかにスタートした。


Creative Project Base 倉成英俊が進行役を務めた。

まず倉成の、システム動作確認を兼ねた軽いジャブのような質問でアイスブレイク。メンバーの回答はチャットで行われ、スタジオメンバーが意見を拾い上げて会話するという流れでプログラムは進んだ。

提示されたテーマは「投資思考」。

どうやら、ここに集合した20代は、投資について考えるようだ。「みんな、投資どうしてる?~問いで始めるコンソーシアムキックオフ」と題したさまざまな質問が投げかけられていく。

それでは具体的なメンバーの発言を見ていこう。



Q.なぜ、ここに参加したのですか?

「上司の紹介です。つみたてNISAは行っていますが、個別銘柄への投資については未経験です。ここで学んでいきたいと参加を決めました」
(金融庁・渡邊駿平)

「社内公募です。コロナ禍により、社会に出て行く機会があまりないので、社外・業界外の人に会える機会は非常に貴重だと思ったからです」
(セゾン投信・渡邉雅大)

きっかけはそれぞれだが、メンバー全員が、前向きな期待を抱いて参加していることが見て取れる。

Q.いま、この時代で、20代であることはチャンスだと思う? ピンチだと思う?

「チャンス。コロナ禍の影響によるテレワークの普及など、時代は大きく変化していますが、20代は適応力があると思うから。スキルを身につけるのも早いほうがよいはずだし、まだどのようにでもアクションができる時間が残されていると思っています」
(丸井グループ・八須麻衣)

「ピンチ。20代でやりたい! と思っていたこと(海外旅行など)がコロナでできない」
(りそな銀行・青 紗友里)

「チャンス。社会の変わり目に若いということは、きっと将来を変えられるはずだから」
(住友林業・森下 舞)

「ピンチ。デザイナーとしての知識は追求してきたけれど、お金のことや社会の仕組みがよくわらなないまま大人になってしまった! でも、ここにはさまざまなメンバーがいるので学ぶことが多そう。ワクワクしています」
(電通・一森 加奈子)


住友林業・森下 舞は、いまの時代を「社会を変えるチャンス」だと考えている


電通・一森 加奈子は、「お金のことや社会の仕組みを知らないでいることがピンチにつながる」と危機感をもっている

多くが「チャンス」と答えた。コロナ禍、DXによる職場環境・働き方の変革なども自分たちの世代なら対応できるし、変えていけるという意見が多い。大変な時代という認識はあっても、多くはポジティブに捉えているところが、若さのパワーなのかもしれない。

20代の投資のリアル


質問は次第に投資に関するものへと変わっていく。

投資のイメージに関しては、「難しい」「面倒」「怖い」という意見も多かったが、「危ないというイメージだったけれど、勉強するうちに“可能性がある”と思えるようになった」(一般社団法人投資信託協会・村田一馬)という意見に象徴されるように、“いまはまだ”というイメージが中心で、その可能性を否定しているわけではないようだ。

実際に投資をしているかという問いでは、メンバーの7割がすでに何らかのかたちで投資を行っていることがわかった。こうしたコンソーシアムに参加するだけあって、意識の高い面々が集まったのかもしれない。とはいえ、残り3割のなかには、「やったほうがいいことはわかっているけれど、いろいろ調べるのが面倒で」と知識不足からアクションが起こせない現状を正直に答える者もいた。

すでに投資を行っているという意見のなかには、「奨学金というかたちで投資を受けていたので、自分なりの社会貢献を考えて、積極的に投資に関わっている」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの浦谷 啓)という真摯な声もあった。

具体的な投資先は投資信託が目立ったが、なかには「サウナ好きが高じて、クラウドファンディングで箱根の旅館にサウナをつくろうとしている」(ウェルスナビ・北川慶一)という特殊なケースもあった。


三井住友トラスト・アセットマネジメントの浦谷 啓は金融マンだけに投資には積極的だ


りそな銀行・青 紗友里が実践している投資は、投資信託そして、「美容」だという


「投資のイメージはワクワク」と期待に胸を膨らます丸井グループ・坂上裕紀

オンラインというかたちではあったが、メンバーそれぞれが交流によって場のムードをつくり上げ、20代のリアルな意識を共有することとなった第1回20代104会議。投資に関する期待度は一様に高い一方で、リアルな未来のビジョンはまだ描けていないという、メンバーの現在地点も明らかになった。今後、104会議を通して、彼らの意識がどのような化学変化を起こしていくのか、大いに注目したい。

いま、なぜ「20代104会議」がスタートしたのか


「投資」は「リスク」で、余剰資金でオトナ世代がするものという一部に根強く残る固定概念はもうすぐ過去のものになるのかもしれない。その台風の目となるのは若い世代だ。「NISA(少額投資非課税制度)利用状況調査」(2020年6月末時点)によると、20〜30歳代のNISA利用者が確実に増加傾向を見せているという。

つみたてNISA口座数推移


出所:金融庁ホームページ

20代と投資。これまでは近しいイメージのないこの2つが結びつき、投資のイメージが刷新されれば、日本の未来は大きく変わるのではないか。こうして、次代を担う20代自身が主役となって新しい投資のかたちを議論する「20代104会議」のコンセプトは固まっていった。


セゾン投信 代表取締役会長(CEO) 中野晴啓

立ち上げ当初からの中心メンバーであるセゾン投信 代表取締役会長(CEO)中野晴啓は、20代104会議開催の挨拶でこのように設立の経緯を語っている。

「きっかけは一年前、現場銀行マンの次のような真剣な言葉でした。

『誰もが投資をすることが当然になってこそ、この国の未来があるはず。そして、そのためには投資のイメージを前向きなものに変えなければならない。それをできるのは若い世代。しかし信託銀行がいくら声を張り上げても、彼らには届かない。だとしたら若い世代が投資について議論できる場を提供し、我々は徹底的に裏方に回るべきなのではないか』

私自身、人々のお金をまっとうな投資マネーに換え、世の中を変えたいという信念のもと自分で会社を立ち上げた人間です。その言葉は刺さりました。企業が全面的にサポートに回る若い世代のコンソーシアム。前例はないが、その切り口は非常に面白いと思えたのです。

そして倉成さん、藤吉さんをはじめとした、金融以外の企業のみなさんも賛同してくださった。


メインスタジオと参加メンバー18人をオンラインでつなぎ会議はインタラクティブに。写真奥左から倉成、シンクタンク・ソフィアバンク 代表の藤沢久美、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春。

既存の社会通念や文化、常識を塗り替える可能性のあるこのコンソーシアムをみなさん“面白い”と感じ、仲間に加わってくれたのです」

中野は、投資のベテランであり運営側という立場だが、20代の参加メンバーに教え諭す気持ちは毛頭ないという。むしろ、共に新たな発見ができればという思いなのだ。

「投資はマネーゲームを表すものではありません。日々の生活や人生を考えることであり、社会活動のすべてに投資という考え方は含まれているのです。賢くまっとうな投資には、未来を書き換える力があります。そのとき主役となる20代にとって、いま投資を考えることは非常に切実な問題なのです」

果たして未来の当事者である20代104会議のメンバーたちは、自分たちの意思で常識に囚われずにディスカッションし、社会に影響を与えるコンソーシアムをつくり上げることができるのか。これから10回にわたって開催される同会議から、当分目が離せなくなりそうだ。


投資で未来を変えていく20代コンソーシアム
〜人生を「投資思考」で変える104(トウシ)コンソーシアムプロジェクト始動!〜


中野晴啓◎セゾン投信 代表取締役会長(CEO)。1987年、明治大学商学部を卒業し、クレディセゾン入社。 セゾングループ内で投資顧問事業の立ち上げなどを経て、2006年にセゾン投信を設立。R&Iファンド大賞 最優秀ファンド賞を8年連続受賞、リフィニティブ・リッパーファンドアワード 最優秀ファンド賞を7年連続受賞。積立による長期投資を広く説き続け、「積立王子」と呼ばれている。

倉成英俊◎Creative Project Base 代表取締役。1975年佐賀県生まれ。2000年電通入社。クリエイティブ局に配属、多数の広告を企画制作。バルセロナのプロダクトデザイナーMarti Guxieのスタジオ勤務を経て、帰国後は多数の新プロジェクト創出に携わる。14年には「電通Bチーム」を、15年には「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」を創設。20年7月、Creative Project Baseを起業。

藤沢久美◎シンクタンク・ソフィアバンク 代表。大阪市立大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て、95年に日本初の投資信託評価会社を起業。99年、同社を売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。現在、代表。07年には、ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出された。104コンソーシアム立ち上げのために、信託銀行メンバーと20カ月を費やしてきた。

藤吉雅春◎Forbes JAPAN編集部 編集長。著書『福井モデル-未来は地方から始まる』(文藝春秋)は2015年、新潮ドキュメント賞最終候補作になった。16年には韓国語版が発売され、韓国オーマイニュースの書評委員が選ぶ「2016年の本」で1位に。最新刊は『ビジネス大変身! ポスト資本主義11社の決断』(文藝春秋)。

Promoted by 104コンソーシアム|文=清水りょういち|写真=後藤秀二|編集=高城昭夫

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