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2021.07.01 08:00

ジェフ・ベゾスが最高経営陣で共に励み、後継者と目した「もうひとりのジェフ」

ベゾスの後継最有力候補ともいわれていた元アマゾンコンシューマー部門トップ、ジェフ・ウィルク(Mike Kane/Bloomberg via Getty Images)

ベゾスの後継最有力候補ともいわれていた元アマゾンコンシューマー部門トップ、ジェフ・ウィルク(Mike Kane/Bloomberg via Getty Images)

「彼のような『師』に出会えただけでも幸運だった。彼には多くのことを教わった。それはわたしだけではない。彼はわたしたち皆にとって得難い教師だ」
──ジェフ・ベゾス、アマゾン創設者、CEO
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アマゾンに、ジェフ・ベゾスが「師」と尊敬した「もうひとりの偉大なジェフ」がいたことを知っているだろうか。この3月でアマゾンを去った、ベゾスの後継最有力候補ともいわれていたジェフ・ウィルクだ。

ここでは、シリコンバレーで活躍する企業グロースとネットワークエフェクトのエキスパートであるジェームズ・クーリエ(James Currier)がウィルクにインタビューした記事を翻訳転載で紹介する。

クーリエは、「投資ポートフォリオ」でなく、相互のビジネスに相乗効果をもたらす可能性のあるスタートアップを「組み合わせて」投資するという、ユニークな「ギルド」の発想を採用して成長する投資家集団「NFX.com」のCEOであり、4つの企業を興したシリアル起業家である。
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後編:「師」からジェフ・ベゾスへの教え。「精査されていないデータは必ず間違っている」こちら


「大事なのはインプットであり、アウトプットではない」


ジェフ・ウィルクはジェフ・ベゾスとともに22年にわたってアマゾンを率いてきた。起業家のなかで、直観に頼らない方針を重視して会社を類まれな成功に導いた人と言えば、わたしの友人でもあるこのジェフ・ウィルク(アマゾンのワールドワイドコンシューマー部門の元CEO)をおいてほかにないだろう。その方針とは「大事なのはインプットであり、アウトプットではない」ことである。

ジェフは、以下3つの推進力を駆使してプライム、アレクサ、AWS(アマゾン・ウェブサービス)を柱とするアマゾンの躍進を実現した。

1. “メカニズム”:アマゾンとはどういう会社か。「2つの故障モード(機能障害を引き起こした不具合)」。実現が当初予測よりも困難なのはなぜか

2. ワンページャー(文書を1ページに収める)文化:アマゾンの信条がいかに文化の変容を食い止めるか

3. 専任体制による発明:誕生したばかりの事業分野をどうやって会社本体から守るか

アマゾンの1億ドルを超える業績につながったのは、画期的な商品の発明と成長だと思っている人が多い。しかし、実際には長期にわたって安定して事業を行うことのできる、優れたオペレーション手腕が躍進の「要」だ。それこそが、時の経過とともに創造性の価値を高める秘訣だっだ。


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アマゾンを強大な企業へと押し上げたそのオペレーションについて、初期の意思決定について、以下、ウィルク自身に振り返ってもらおう。

アマゾン入社は「1999年」


90年代後半、わたしにはアマゾンで働いている友人がいた。彼はこう言ってわたしを誘った。「君が来てくれなければ我が社はだめになる。われわれにはどうしても君が必要だ。ぜひ一度会って話を聞いてほしい」

なぜかそのとき、わたしは話を聞いてみたい気分だった。友人はそれを見抜いてこう言った。「ジョー・ガリに会ってみないか(ジョセフ・ガリはアマゾンで1年ほど社長を務めていた人物)? ワシントン・ダレス国際空港近くのホテルでどうだろう?」

そこで私は空港まで出向いて、ガリとランチをとることになった。4時間いたが、結局ふたりとも何も食べなかった。

ジョーは情熱にあふれた人で、アマゾンのことをあれこれ話してくれた。それに彼はわたしと同じピッツバーグの出身で、家はわたしが育った地域から3キロメートルほどのところだった。それで、ピッツバーグのことや大人になるまでに知り合った人たちのこと、そこで得た経験からリーダーシップについて学んだことなど、さまざまなことを語り合った。最後に彼は「ぜひオフィスに来てチームの皆に会ってほしい」と言った。
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翻訳・編集=北綾子/S.K.Y.パブリッシング、石井節子

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