深圳に本社を置くBIT Mining社は6月21日、中国と国境を接するカザフスタンに320台のマイニングマシンを送ったと発表した。同社は、7月1日までにさらに2600台のマシンを同国に納入予定で、残りのマシンも海外のデータセンターに送る予定という。
「当社は、代替となるリソースを求めて海外展開を加速している。当社の経営理念や市場の先行者であろうとする姿勢は、グローバルな規制環境の変化に機敏に対応できると確信している」と、BIT Mining社のCEOのXianfeng Yangは声明で述べた。
BIT Miningの動きは、中国の四川省で地元の電力会社が同社への電力供給を停止したのを受けてのものだ。四川省の当局は、暗号通貨のマイニングに関与している疑いのある26社に操業停止を命じ、地元の電力会社に、電力供給を停止するよう要請したという。
BIT Miningは、中国当局が5月に暗号通貨の規制を強化してから1週間も経たないうちに、カザフスタンと米テキサス州のマイニング拠点に3500万ドル(約39億円)を投資すると発表していた。ニューヨーク市場に上場するBIT Miningは、今年2月に中国のビリオネアのジハン・ウーが経営するBitdeer Technologiesから買収したマイニングプール(採掘者の集合体)の「BTC.com」を運営している。
中国から脱出を図るもうひとつの暗号通貨企業がカナン(Canaan、嘉楠科技)だ。杭州を拠点にマイニング機器を製造する同社は6月初旬、カザフスタンに初の海外拠点を設立したと発表した。
カザフスタンはエネルギー価格が安く、中国と国境を接していることから、有望な移転先となっている。Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Indexによると、カザフスタンは世界第4位のビットコインのマイニング拠点となっている。
さらに他の中国の暗号通貨企業も、米国への移転を検討中と報じられた。広州のある物流会社は最近、重量にして3トン分のマイニング機器をメリーランド州に空輸したと伝えられている。
米国の一部の州は、電気料金の安さをアピールすることで、中国のマイニング企業を誘致しようとしている。マイアミ市長のフランシス・スアレスは先週、CNBCに対し、低価格の原子力エネルギーが豊富に供給されている同市が、中国の採掘企業の魅力的な移転先候補になり得ると述べた。
中国の暗号通貨企業の海外移転の増加は、中国政府のマイニング企業の追放へ向けた動きが、成功していることの証でもある。中国人民銀行は先日、アントグループのアリペイと4つの国有銀行に対し、暗号通貨取引に関与していると思われる顧客へのサービス提供の停止を求めていた。