フランスの「バカンス文化」を知る男が軽井沢移住を決めた理由

フランス留学を経て、現在は軽井沢で着地型ツーリズム会社を経営する河野岳さん

リゾートテレワーク・ワーケーションという言葉が脚光を浴びている。急に注目を集めたため、目的、定義、導入のポイント、参加者・企業・自治体のメリットなどの認識もまちまちだ。

参加者、企業および自治体にとってメリットを出すワーケーションは、企業事務系ワーカーだけではなく、職人、アーティスト、デザイナーなど幅広いワーカーの属性や、企業種別などターゲットを明確にしたきめ細かいマーケティングアプローチだ。

本稿では、最近軽井沢に移住・二拠点居住を始めた、新しいライフスタイルや価値観を持った方々、移住者を受け入れる立場の地元の団体のトップや自治体の首長などにインタビューし、将来のリゾートテレワーク・ワーケーションを予測している。第13回は、大学卒業後フランスに留学、現在は軽井沢拠点とする着地型ツーリズム会社を経営されている河野岳さんにインタビューする。

フランスは今でこそバカンス(バケーション)の国と言われ、夏になると1カ月近く休むイメージがあるが、実はバカンスを取れるようになった歴史は意外と浅い。また富裕層と一般のワーカーとでは、バカンスの長さに大きな開きがあるし、取れない層もある。その期間に使う金額などに大きな開きがあるのも事実だ。

このインタビューでは、フランスのライフスタイル、バカンス、ワークスタイルを、バカンス文化のない日本と比較することで、日本型リゾートテレワーク・ワーケーションの可能性を考えていく。

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浅間山を借景にリゾートテレワークする河野岳さん。軽井沢もご自宅のテラスにて

鈴木幹一(以下、鈴木):最近軽井沢では、国際結婚された方の移住や二拠点居住が静かに増えています。特にヨーロッパの方、その中でもフランス人と国際結婚された方が多いように感じています。また河野さんのように、海外留学経験のある方の移住も増えていると思います。特に河野さんは、観光立国でバカンスの国フランスに留学。以来、旅行・観光・レストランなどホスピタリティー業界一筋です。

そのような貴重なご経験を通じ、フランスと日本の違いから、将来のライフスタイル、ワークスタイルについていろいろお聞きしたいと思います。まず、そもそも河野さんが旅行・観光にご関心を持たれたきっかけは何ですか?

河野岳さん(以下、河野):学生時代から旅が好きで日本津々浦々、旅行していました。旅の途中で出会う地方の文化風土は、東京で生まれ育った私にとって、とても新鮮で刺激的でした。休みの度に旅行をしているうちに、気づけば47都道府県を全て周遊していました。
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文=鈴木幹一

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