買い物がメインの消費型観光はオンラインで代用され、リアル旅の価値はより一層、地域の文化風土に根ざした体験価値や交流に重きを置かれる時代になるのではないでしょうか。地域の旅行社としては一過性の消費観光客を追うのではなく、関係人口となる真の地域ファンを作っていかなくてはならないと考えています。
鈴木:将来のワーケーション・リゾートテレワークはどのようになるとお考えでしょうか?
河野:「ワーク」と「バケーション」がシームレスになる「ワーケーション」の時代には、観光と地域づくりが一層連動していくことになります。どこでも仕事ができる時代、ワーカーがわざわざ時間とお金を使ってその地域を訪れるには、ハードよりも地域ならではのソフトの体験価値があることが重要です。それは各地域が改めて自分の地域の魅力、文化・風土を見つめ直す機会となるし、ソフトの価値がないところは観光地としてもワーケーションの場所としても選択されなくなっていくのではないでしょうか。
ローカルガストロノミーの魅力
鈴木:軽井沢広域エリアの観光のポテンシャルはどのようにお考えですか?
河野:軽井沢には歴史的な避暑地・別荘地としてのブランドがあります。一方で周辺地域に目を向けると、多くの知られていない観光資源があります。その一つがローカルガストロノミーです。千曲川沿いの肥沃な大地、浅間山や八ヶ岳連峰の水の恵み、豊富な日照量、豊かな“農と食”がこの地域にはあります。
ただ残念なのが軽井沢を訪れる多くの方が、そういった周辺エリアの魅力を知らずに、日帰りや短期滞在で軽井沢を離れてしまう。弊社のビジョンに掲げている広域のツーリズム連携の意義はそこにあります。
例えば「千曲川ワインバレー」。軽井沢からわずか30分~1時間圏内のエリアで、国内トップ級のワインを多く輩出しています。ワイン特区により年々ワイナリーも増えていて、ワイナリー巡りをするだけでも数日は楽しめます。
フランスでいうと中核都市・ディジョンを拠点にしたブルゴーニュのワインツーリズムがありますが、同様のものが軽井沢を拠点にできる訳です。更にワインだけでなく、軽井沢のお隣・佐久市は国内有数の酒蔵の集積地ですし、ヤッホーブルーイングや軽井沢ブルワリーといった有名なクラフトビール工場もあります。
そしてここ数年内に軽井沢や小諸市でウィスキーの蒸留所ができる計画もあるようです。国内でこれだけ酒関連が集積していて、観光できるエリアはないですよね。広域連携による滞在型リゾート・軽井沢のポテンシャルは非常に高いです。
軽井沢発のローカルガストロノミーツアーも頻繁に実施している
鈴木:先輩移住者として、これから軽井沢・御代田・小諸など広域軽井沢エリアに移住を検討されている方に何かアドバイスはありますか?