フランスの「バカンス文化」を知る男が軽井沢移住を決めた理由

フランス留学を経て、現在は軽井沢で着地型ツーリズム会社を経営する河野岳さん


河野:移住する前にまずは地域の文化風土を理解することが、地域にとっても移住する側にとっても、長い目で見て大切なことだと思います。軽井沢エリアには貸別荘も多くありますので、短期の観光だけでなく、まずは中長期で滞在してみて、地域の文化風土を体感してみる。それにより地域と移住者とのギャップや齟齬がなくなると思います。

地域の文化風土、ブランドは一朝一夕にできたものではなく、先人たちが築き上げてきたライフスタイルによって維持発展してきたものです。それを移住者が学び、理解することは、サステナブルな地域発展のためにも必要不可欠なことだと思います。
 

インタビューを通じて


河野さんと初めてお会いしたのが、3年前に東御市の東御ワインチャペルで開催された千曲川ワインバレーのフォーラムの時でした。その時軽井沢をゲートウエイとした千曲川ワインツーリズムの魅力について講演されていました。観光は、どんなに観光コンテンツが優れていてもその魅力が伝わらないとヒットしません。

河野さんは、どのようにすれば千曲川ワインバレー全体が盛り上がっていくか、その魅力と戦略を力強く話されていたのがとても印象に残っています。

現在千曲川ワインバレーには、ワイナリーやヴィンヤードが40近くあります。ここをワインツーリズムで盛り上げて行くには河野さんのような発想が欠かせないと思います。実際、軽井沢に企業研修などワーケーションに来たワーカーが、翌日ワイナリーツアーに参加するケースも増えています。

軽井沢では移住者が急増していますが、実は国際結婚の方や海外生活の長い方の移住も確実に増えてます。従来の移住者、二拠点居住者に加え、国際感覚を持った方が増えてくることで、コミュニティーの多様性が増していきます。

彼らが地元の方々、別荘の方々との交流を深める事で、様々な化学反応が起き、イノベーションが誘発されやすくなります。今、その流れが軽井沢だけではなく、御代田・小諸・佐久・上田・東御などの軽井沢経済圏にも広がってきています。


河野岳◎軽井沢トラベル&コンサルティング代表。1976年東京生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、フランスへ留学。アンジェ・西カトリック大学留学後、旅行業へ。仏系旅行代理店、地球の歩き方T&E、フランスのオーベルジュチェーンのセールスPRを経て2009年軽井沢に移住。軽井沢のオーベルジュの運営、新店舗立ち上げに7年間携わった後、2017年軽井沢初の着地型旅行会社「軽井沢トラベル&コンサルティング」を起業。軽井沢を訪れる国内外の観光客・法人企業、ワーカーに軽井沢広域圏のツーリズム、ワーケーションプランなどを企画提案している。

文=鈴木幹一

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