「不満買い取ります」。AIが文章解析した消費者の声、なぜ大企業に売れるのか

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実際にどのような不満が集まっているのか。ここで一部ご紹介しよう。

「冷凍庫も開けた時にライトが点灯するようにしてほしい。夜中にアイスを食べたくなった時、わざわざ台所の電気をつけるのは面倒」(20代女性)

「パソコンのキーボードにホコリが溜まってしまうので蓋ができるキーボードを発売してほしい」(30代男性、ともに出典:不満買取センターホームページ(https://fumankaitori.com/))

フランスベッド社は売上げ台数4倍に


不満買取センターはパナソニック、味の素、伊藤ハム、フランスベッドなど数々の大企業に採用されている。フランスベッド社では不満買取センターを活用して、モニター調査では見えにくい本音を商品開発に活かし、売上げ台数が4倍になった。

企業はマーケティングの一環としてユーザーの声を集めることに力を入れてきた。モニター調査やアンケートを実施したり、各ショッピングサイトに商品のレビュー投稿を促したりと様々な施策を行っているが、そこにもAIが導入されている。

AIによる口コミ分析のプラットフォームとして「テキストマイニング」があるが、不満買取センターの技術と、このテキストマイニングの違いは何なのか。


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一言でいえば、テキストマイニングが「単語」に区切って解析するのに対し、不満買取センターは投稿されたユーザーからの意見を「文章」として解析する。

たとえば、「洗濯機の値段が高い。もう少し安いのなら買うのに。」という意見が投稿された場合に、不満買取センターでは文章として解析するので「値段が高い」という結果になるが、テキストマイニングの場合、「洗濯機/の/値段/が/高い/ので/、/もう/少し/安い/なら/買う/のに」と単語で区切るため、値段が「高い」と「安い」がどちらも解析されてしまう。文章解析の方がより課題が明確になりやすいということになる。

また、不満買取センターの場合、「不満」にフォーカスしてユーザーの声を集めているのに対し、テキストマイニングだと「良かった点」も入ってくる。「不満」や「もっとこうだったらいいのに」の声にこそ商品の改良に繋がるヒントが多く隠れていることを考えると、テキストマイニングは非効率ともいえる。

「不満」というとネガティブに聞こえるだが、実はそれらは「こうなればもっと良い」というアイディアの集合体だ。ポイントがもらえることもあるが、口コミやレビューのように他人に見られるということもないので、本音が集まりやすい。企業側にとっては、見られたくない、自社製品、サービスに対するネガティブなレビューを他のユーザーに見られる心配がないこともメリットだ。

文=アステル 編集=石井節子

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