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2021.06.24 08:30

石炭の再利用で「環境に優しいビットコイン」目指す米企業の挑戦

Getty Images

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ペンシルバニア州を拠点とする暗号通貨のマイニング企業「ストロングホールド・デジタルマイニング(Stronghold Digital Mining)」は、廃棄石炭から生まれる電力で、ビットコインを採掘しようとしている。同社は事業拡大に向けて投資家から1億500万ドル(約116億円)を調達した。

エネルギー業界で40年の経験を持つストロングホールドの共同会長のビル・スペンスは、「我々は、会社を存続させるために暗号通貨市場を選んだ」と述べている。

石炭の採掘プロセスで生じる廃棄石炭はこれまで放置されてきたが、ストロングホールドはこれをビットコインの採掘に転用しようとしている。同社の試算では、1ビットコインの採掘に必要な電力を、200トンの廃棄石炭で賄うことが可能という。

「今から5年ほど前、廃業を考えていた時に暗号通貨に出会った」とスペンスは話す。ストロングホールドは、年末までに3万台のマイニングマシンを稼働させる予定で、200メガワット以上の電力容量を持つ追加施設の買収交渉を進めている。

ビットコインの価格は、ここ数週間、中国の規制強化の打撃を受けており、イーロン・マスクがエネルギー消費に懸念を示したこともあり、暗号通貨市場全体から1兆ドル以上が失われた。

しかし、「市場のボラティリティーが我々を不安にさせることはない」とスペンサーは話す。

最近まで、世界のビットコイン採掘の50%以上を占めていたとされる中国の当局は、採掘業者に事業の停止を命じている。中国の国営タブロイド紙「The Global Times」によると、四川省にあるマイニング施設の90%が閉鎖された。

「中国の暗号通貨の取り締まりは、業界にとって有益だ。これらのマイナーが国外に移転することで、より環境に配慮した活動が求められる」と、スペンスは述べている。

一方で米国は、中国から脱出したビットコイン採掘業者の移転先として浮上している。マイアミ市長のフランシス・スアレスは先週、ビットコイン採掘者のフロリダへの移住を促すために、電気料金の引き下げに取り組んでいると述べた。

環境にやさしいマイニングを実現


「暗号通貨はさまざまな面で優れたアイデアであり、将来性があると信じるが、環境に大きな負担をかけるわけにはいかない」とマスクは5月に発言し、ビットコインと暗号通貨市場に衝撃を与えた。

マスクは、ビットコインのカーボンフットプリントが改善されれば、テスラがビットコインのサポートを再開すると述べているが、具体的な判断基準については明らかにしていない。

「イーロン・マスクが言うことは正しい」とスペンスは述べている。「私はビットコインと暗号通貨を信じているし、それをより良くする必要があると思っている」

ストロングホールドの発電所は、廃棄石炭から排出されるNOx(窒素酸化物)を約90%、粒子状物質を99.9%、水銀を99.9%除去し、SO2(二酸化硫黄)を98%除去できる。さらに、同社が製造するフライアッシュ(石炭灰)は肥料に分類され、ペンシルバニア州農務省から農業用石灰材のライセンスを取得している。

ストロングホールドのCEO兼共同会長であるグレッグ・ビアードは、資金調達と同時に声明を発表し、「環境への悪影響がビットコインへの批判の根拠となってきた。当社は、環境に変革をもたらす努力を重ねつつ、業界で最も低いと思われるコストでビットコインの採掘を行っていく」と述べている。

編集=上田裕資

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