ファーナーは、ドローン配送に必要なインフラの大部分がウォルマートには既に整備されていることを指摘している。同社の約4700店舗には購入頻度が高い商品の在庫が10万点以上そろっていて、米人口の90%は同社店舗から約16キロメートルの範囲に住んでいる。
「これにより、当社はドローン配送を行う上で独自の立場に立てる。ドローンアップへの投資が空だけでなく地上にも生かされるのも、こうした理由からだ」とファーナー。
ウォルマートの広報担当者は、同社が以前からドローン配送やその活用方法を検討していたことを明らかにした。同社はドローンアップに加え、ジップライン(Zipline)やフライトレックス(Flytrex)と協業してきた。
ウォルマートは4月、全電気式の自律走行車を提供するクルーズ(Cruise)に同様の投資を行うことを発表した。クルーズの大部分は、ゼネラル・モーターズ(GM)の所有だ。
完全電気式の自動運転車を使ったウォルマートの配送試験は、アリゾナ州スコッツデールで行われている。クルーズの電気自動車は再生可能エネルギーのみを動力源として走行し、2040年までに温室効果ガスの排出量ゼロを実現するとした同社の目標達成を支援している。
試験では、顧客が地元店舗から注文を行い、クルーズの全電気式自律走行車を通して人と接触することなく商品の配送を受けることができる。ウォルマートはこの技術が、顧客の時間と金を節約するだけでなく環境面でも役に立つと説明している。
同社の広報担当者は「私たちはこうした取り組みを通し、顧客が必要とする商品を届ける上でどのようにこうした技術が活用できるかを学んでいる」と述べた。
アマゾンは、ドローンを使って顧客に30分以内で安全に荷物を届けるよう設計された配送システム「プライム・エア」について、「迅速な荷物の配送により、当社が数百万を超える顧客に既に提供しているサービスをさらに改善できる大きな可能性がある。迅速な配送は、交通システムの全体的な安全性と効率性も高めるだろう」と述べている。