中国人民銀行(PBOC)が6月21日に発表した声明によると、アントグループのアリペイ、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、中国郵政貯蓄銀行などの金融機関が召集され、暗号通貨取引に関与していると思われる顧客へのサービス提供の停止を求められたという。
「暗号通貨の取引や投機的な活動は、通常の経済や金融秩序を乱しており、違法な国境を越えた資産移動やマネーロンダリングなどの犯罪のリスクを高め、一般市民の財産の安全に著しいダメージを与えている」と、PBOCは声明の中で述べている。
アリペイは別の声明で、暗号通貨関連の取引を特定するための監視システムを設置し、そのような行為を行った加盟店をプラットフォームから追放すると述べた。また、4つの国有銀行は、暗号通貨取引を監視する取り組みを強化し、そのような活動に口座を使用することを禁止すると宣言した。
このニュースを受けて、ビットコインやイーサアリアム、ドージコインなどの主要な暗号通貨の価値は急落した。コインデスクによると、ビットコインの価格は22日に2週間ぶりの安値に沈み、香港時間の午前8時過ぎには3万1196ドル付近で取引された。
中国は、世界の暗号通貨の供給量の70%を占めていたとされている。直近の中国人民銀行の動きは、当局が中国国内から暗号通貨のマイニング(採掘)や取引を排除しようとする取り組みの最新の事例だ。
中国の四川省は最近、内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区とともに、マイニング企業を排除しようとする管轄区域のリストに加わった。国営タブロイド紙Global Timesが21日に報じたところによると、同省の当局は、マイニングに関与している疑いのある26の企業の閉鎖を命じたという。また、当局は地元の電力会社に対し、マイニングプロジェクトへの電力供給を停止するよう要請した。水力発電が盛んな四川省は、中国最大のマイニング拠点のひとつとなっている。
先月、中国はSNSの微博上の、暗号通貨関連のアカウントを一斉にブロックした。また、バイナンスやOKExなどの取引所の名前を検索エンジンから排除している。