ビジネス

2021.06.30

日本のスタートアップは海外勢参入に対して勝てる理由が必要


一方で、比較的規制が緩いCRMや業務管理ソフトウェア市場は参入障壁も低く、実際、海外からのプレイヤーが市場を支配している分野でもあります。これらの分野では、翻訳以外のローカリゼーション・プロセスがほとんど必要ないため、かなり早いペースで日本事業に資金を注ぎ込んで組織をスケールさせることが可能なのです。

また、デベロッパーの間で使われるGitHubやSlackなどのツールは、参入障壁が特に低い傾向があります。実際、どちらのツールも、日本市場に正式に進出する何年も前から日本で顧客を獲得できていました。多くのエンジニアは、英会話はできなくても、新しいツールやプログラミング言語、ベストプラクティスについて学ぶために常日頃から英語を使っているからです。コードは言葉や国境を超えるということです。

「タイムマシン優位性」はスタートアップの起業アイディアを練るのに役立ちますが、海外プレイヤーとの将来的な競合を視野に、「それをなぜ、日本でやるのか」という質問と合わせて考える必要があるでしょう。

中国など一部の国では、多くの海外プレイヤーが国内市場から完全に閉め出されているので、この点は問題になりません。だからこそ「中国版Twitter」や「中国版Google」などが存在するわけです。

しかし、日本の場合、競争は国内だけにとどまらず、近年ますますグローバル化しています。起業家も投資家も、常にこうした現実を踏まえて考える必要があるでしょう。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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