英紙アイ(i)は先ごろ、コーンウォール地方の感染者数はサミットの開催以降、「およそ2500%増加している」と報じた。観光業への依存度が高い同地方の事業者や住民たちの間で、警戒感が強まっているという。
コーンウォール地方の感染者数は、同月2日までの1週間には人口10万人あたりわずか4人だった。だが、16日までの1週間には、同131人に増加していたことが確認されている。
英国のワクチン接種率は、比較的高くなっている。だが、最近ではインドで最初に確認された変異株の「デルタ株」への感染者が大幅に増加。死者数は今のところ大きく増えていないが、それは恐らく、新規感染者の大半がまだワクチンを接種していなかった子供や若年成人に集中しているためとみられている。
コーンウォール地方の商工会議所は14日、ホスピタリティー・観光関連産業に従事する人たちの間で感染者が急増していると警告する文書を公表。デルタ株は感染力がより強いこと、そのデルタ株に感染した人が増加していることがその原因だとして、警戒を呼び掛けた。
アイ紙によると、コーンウォール商工会議所のトップは、次のように述べている。
「地元のホスピタリティー関連の仕事に就く若い労働者たちは、大半がワクチン接種を受けていません。デルタ株に感染しているのはこうした人たちであり、彼らとその同僚たちが、隔離措置の対象となっています」
「地元のパブやバー、ホテルが、恐ろしいペースで次々と閉鎖しています」
大規模イベントがもたらすリスク
G7に出席した各国首脳のいずれかが、コーンウォール地方の新規感染者の増加を招いた、あるいは首脳たち自身に感染の危険があるといったことを示すものはない。
首脳たちにはワクチン接種済みであることが分かっている人もおり、またコーンウォールに滞在していた関係者らは、定期的に検査を受けていた。
ただ、サミットのために同地方を訪れた各国の代表団が感染者の増加にを招いたのではないとしても、このイベントに関わったスタッフが、感染を拡大させたと考えることはできる。
こうした規模のイベントの開催には、何週間も前からの計画と、それに伴う人材・専門家の配置が必要となる。開幕前から終了後まで、開催地周辺には数千人の警察官や警備員、報道関係者が集まり、さらには会場周辺で行われたデモ活動にも、多くの人たちが参加した。
そして、ワクチン接種が主に年齢に基づいて進められてきたということは、ホスピタリティー・観光関連の仕事に就く若い人たちが、開幕の時点で接種を受けていなかった可能性は高いだろうということだ。
コーンウォール地方議会の議員たちは、サミット開催が感染者の増加につながったとの見方を否定。感染拡大の理由としては、経済活動の再開と観光客の増加によって人流が増えたこと、地元の大学で感染者が出たことなどを挙げている。