ポルシェは、新会社の「セルフォースグループ」の83.75%を所有し、数千万ユーロを投資する。カスタムセルズ社は残りの16.25%を所有する。
ポルシェCEOのオリバー・ブルーメは、21日の声明の中で「セルフォースグループは、ポルシェの新たな子会社として、高性能バッテリーセルの研究・開発・生産・販売を推進していく」と述べている。
新たなバッテリーは、15分以内の充電が可能とされている。これに対し、ポルシェのTaycanのバッテリーの充電量を5%から80%に引き上げるには、約22.5分が必要だとブルームバーグは指摘している。
ブルーメCEOは4月、ポルシェがバッテリー生産を強化するために、テュービンゲンに工場を設立すると発表していたが、テュービンゲンはシュトゥットガルトのポルシェ本社や研究開発センターにも近い学園都市で、カスタムセルズ社もここに本社を置いている。新たな工場は、年間1000台分のバッテリーを生産可能とされている。
セルフォースグループの社員数は、当初は13名だが2025年には80名に拡大する予定という。ドイツ連邦政府とバーデン・ヴュルテンベルク州は、このプロジェクトに約6000万ユーロ(約80億円)を投じる。
フォルクスワーゲンは、欧州に12のバッテリー工場を建設し、世界中に充電ステーションを拡大する計画だ。
欧州の自動車メーカーの多くは、EV(電気自動車)の生産を強化する中で、バッテリーのアジアへの依存度を引き下げようとしている。
ポルシェは、2030年までに同社の新車販売の少なくとも80%が、フルEVもしくはプラグインハイブリッド車(PHV)などの部分的な電動化モデルになると予想している。
新会社のセルフォースのバッテリーセルは、負極材にシリコンを使用しており、バッテリーの内部抵抗を低減することで、バッテリーの電力密度を高めている。これにより、他の電池よりも多くのエネルギーを吸収し、短時間での充電が可能になる。
セルフォースのプロジェクトには、総合化学メーカーのBASFもパートナー企業として参加し、次世代のリチウムイオン電池の開発を行う。BASFは、2022年からフィンランドとドイツの工場で、パーツの製造を行う予定だ。