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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信


日本のオールスター戦と比べると、自分の贔屓チームが属するリーグを応援して盛り上がるというよりは、むしろ普段見ることができない選手をたくさん見られる喜びが上回り、スコアに執着しないぶん、球場はベースボールファンとしての横断的な連帯感を味わえる不思議な雰囲気に満ちている。

テレビカメラはあまり拾わないが、ファンがそれぞれの贔屓チームのユニフォームやジャージを着て、胸を張って球場の通路を闊歩し、ホットドッグやビールを買う列に並ぶ。MLB30チームのユニフォームやジャージが咲き乱れた球場の光景はそれだけで楽しく、アメリカのプロスポーツがファンによって支えられ成り立っていることを、強烈に印象づけられた。

ホームラン競争の優勝賞金は1億円超


さて、本番の前日に行われるオールスターのホームランダービーだが、ルールはこれまで頻繁に変わっている。現行では、出場選手はMLB30チームのなかからたった8人しか選出されない。

出場選手は、トーナメント方式で合計ホームラン数を競い、優勝賞金100万ドル(約1億1000万円)がかかる決勝戦までは、全部で3ラウンド戦うことになる。1ラウンドの時間は4分、球数無制限で投げる球をスタンドへ叩き込む競争なので、なんといっても体力勝負だ。

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公式プロフィールでは身長193cm、体重95kgとされているが、今季は体力強化して、体重は102kgと言わている。体格でも他の選手に引けを取らない

特大ホームランを打つと、タイムアウト(休憩時間)を獲得できるなどのルールもあるが、基本的には打ち続けても集中力とパワーを失わないことがこの独特なゲームのいちばんのポイントだ。

歴代の優勝者を眺めてみても、デビッド・オルティスやブラディミール・ゲレーロ(父)、プリンス・フィルダーなど、飛び抜けてスタミナに恵まれた体格を持ったパワーヒッターが目立つ。しかも、決勝戦は勝負がつくまで打ち続けるデスマッチなので興味深い。

MLBの選手のなかに入ると細身で長身というイメージが強かった大谷選手だったが、ムーンショットの今年はまさに体力や体格でもMLBのライバルたちに引けを取らない。

しかも、今回の開催球場となるコロラド州デンバーのクアーズ・フィールドは、ロッキー山脈に位置する標高1600メートルの球場で、MLBの本拠地では最も高地にあり、当然気圧が低いので空気抵抗は少ない。なので、全米でもいちばん打者に有利な「飛ぶ球場」の異名もあり、他球場より約10%は球が伸びると言われている。

ホームランダービーは大谷選手の参戦表明で盛り上がっているが、あくまでオールスターゲームのアトラクションの1つだ。オールスターゲームそのものの歴史に比べると、比較的最近の1985年からのイベントであることからも、その重みは異なる。

前述のように、大谷選手はホームランダービーだけではなく、本番のオールスターゲームにも「指名打者」として選出される可能性が高い(現地時間7月1日に決定)。出場となればゲームには当然、指名打者としてバッターボックスに立つことになるが、投手として投げる姿も見たいという声も全米のファンからは上がっている。

もちろん、イチローのように、オールスターでランニングホームラン(2007年)を打つような偉業こそが、その後も長くファンの間には記憶される。大谷選手にも、是非、投打での出場を実現してもらい、ホームランと160キロ超えの投球を見せてもらいたい。

例え指名打者だけの出場となったとしても、ぜひ大谷選手らしい速くて美しい、華のあるムーンショットをロッキー山脈に打ち込んで、オールスターゲームのMVPを獲得してもらいたいものだ。

連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

MLB大谷翔平

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