現地時間の6月20日、日米を通じて自身シーズン最多の23号を放った大谷選手は、これでブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)に並び、ホームラン数で5月24日以来のMLBトップの座に躍り出た。
しかも、この1週間(14日〜20日)、大谷選手は7試合に出場し、6本のホームランを固め打ち。17日には投手として3勝目も挙げたことで、MLBアメリカンリーグの週間MVPにも選出された。
直前の18日には、大谷選手はMLBオールスターゲームのホームランダービーに出場することも表明しており、それを自らのパフォーマンスで裏付けるかのような大活躍だ。
今季は、パワーアップした上半身を駆使したアッパースイングにこだわり、圧倒的なペースでホームランを量産している大谷選手が、オールスターの目玉アトラクションであるホームランダービーに出場するということで、現地は大いに盛り上がっている。
あの松井秀喜選手でさえ選ばれなかったホームランダービーだから、日本人選手として出場するのはもちろん初めてであり、MLB史上でも投手もこなす選手がホームランダービーに出場した例はこれまでになく、アメリカのベースボールファンも熱い関心を寄せている。
ちなみにエンゼルスのファンサイトの公式グッズ販売店のFOCO社は、これを機に大谷選手のボブルヘッド(首振り)人形の予約を受け付け始めた。221個という限定生産で、9月からの出荷という80ドルもする人形は、その日のうちに完売となったという。
大谷選手のボブルヘッド人形は過去にもいくつかあり、オークションサイトでもいろいろな種類のものが出回っているが、特に表が打者で裏が投手のものは希少価値が高いと見られており、価格も高騰している。また大谷選手の人形のなかには1000ドルの値をつけているものもある。
ファンによって成り立つ米のプロスポーツ
大谷選手は、ホームランダービーだけではなく、本番のオールスターゲーム(現地時間7月13日)でも「指名打者」として選出される可能性が高い。
1933年に始まったMLBのオールスターゲーム(日本は1951年から)は、歴代ホームランキング数で第2位のハンク・アーロンが最多出場の21回を記録しており、その出場選手にはやはり華が求められる。当然、投打二刀流の大谷選手にはそれがあると言ってよい。
ファン投票によって出場選手が選ばれるケースは、MLBではこのオールスターゲームしかないため、アメリカンリーグとナショナルリーグに分かれて対戦する試合は、真剣勝負というよりもファンサービスに徹せられている。
大谷選手の所属するエンゼルスは、アメリカンリーグに所属しているため、「交流戦(インターリーグ)」があるとはいえ、なかなか見る機会の少ないナショナルリーグのファンにとっても、大谷選手のムーンショット(月面撃ち)は楽しみとなる。
筆者は、かつて一度だけアリゾナ州フェニックス市のチェイスフィールド球場(アリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地)でのオールスター戦を観に行ったことがある。