転職の理由は人それぞれだ。1日2時間以上もかけて、人も汚染も犯罪も多い都市と自宅を行き来する通勤に嫌気がさしたという人もいるだろう。保険・金融サービス大手のプルデンシャルがおこなった調査により、「米国労働者の3人に1人は、職場にフルタイムで常駐することを求める雇用主のもとでは働きたくないと思っている」ことが明らかになった。
さらに同調査は、「労働者の4人に1人は、パンデミックの脅威が低下したら新たな仕事を探すつもりであることが判明し、人材争奪戦が目前に迫っていることが示唆された」としている。プルデンシャルのロブ・ファルゾン(Rob Falzon)副会長もこれを認め、「私が夜眠れないほど心配していることがひとつあるとすれば、それは人材流出リスクだ」と述べた。
人々はさまざまなチャンスを求めて、異なる業界に転職している。テクノロジーなどの急成長分野で新たな仕事に就くために、講義に参加したり、オンライン研修を受講する人もいる。
一方で、まだウイルスへの懸念が抜けきれず、転職活動を控える人もいる。パンデミックのあいだ、働く母親たちは、仕事と育児の二者択一を迫られた。公立学校が対面授業を停止し、生徒たちが自宅に帰された都市の住民にとっては、とりわけ困難な状況だった。
パンデミックのあいだ中、人々は押しつぶされそうなストレスと不安を抱え、メンタルヘルス問題、燃え尽き症候群、うつ病、孤独感が蔓延した。こうした人々は、休息をとったり、共感と思いやりに満ちた環境を提供する企業を探したりするかもしれない。
エキサイティングな展開だ。労働者が仕事を辞めるのは、将来に自信を持っている証拠だ。また、求人は過剰状態なので、もし転職がうまくいかなくても、次を見つけるのは比較的簡単だ。過去1年半の大部分は、このような状況ではなかった。
ただし、ここでアドバイスをひとつ。次が決まっていないなら、仕事は辞めない方がいい。リスクが大きすぎるからだ。職についていないと、交渉力は低下する。今の仕事がなければ、より高い給料を得るカウンターオファーの可能性がなくなってしまう。また、3~6カ月、あるいはそれ以上にわたって失業状態になるかもしれない。採用担当者は面接で、なぜそんな判断をしたのか質問してくるだろう。彼らは心配しているのだ。あなたが衝動的で、些細な理由で今度もすぐに会社を辞めてしまうかもしれない、と。