JD.comが32%を所有する愛回収の上場は、投資家が中国経済の成長と個人消費の高まりを楽観するムードの中で実施された。同社の株は1株14ドルで2億2700万ドル(約250億円)を調達した後、17.21ドルで当日の取引を終えた。中国の今年第1四半期のGDPは、パンデミックからの回復が続く中で、前年同期比18%増となっている。
2014年にナスダックに上場し、テンセント(17%)やウォルマート(9%)などが株主となっているJD.comは、1年前の香港市場への二重上場で39億ドルを調達していた。その後昨年12月に香港市場に上場した「JDヘルスケア」の株価は、IPO価格の70.58香港ドルから、107.50香港ドルまで上昇している。
さらに、物流部門のJDロジスティクスも先月、香港市場に40.36香港ドルで上場して32億ドルを調達したが、18日の終値は40.16香港ドルだった。
一方で、これらの企業を上回るリターンを誇るのが、昨年6月にナスダックに上場した、JD.comが46%を保有するオンデマンド配送プラットフォーム「Dada Nexus(達達)」で、IPO価格が14ドルに対し、18日の終値は30.16ドルだった。時価総額が70億ドルのDadaは、ウォルマートが10%、セコイア・キャピタル・チャイナ関連のファンドが7%を保有している。
愛回収は、赤字の中国企業が米国で上場した最新のケースでもあり、2020年には7億4100万ドルの売上に対して、7200万ドル近い赤字を計上していた。愛回収は、JD.comの他に、上海に拠点を置く5Y Capitalなどからも出資を受けている。
JD.comの会長を務めるリチャード・リュー(劉強東)の保有資産を、フォーブスは183億ドルと試算しており、彼は最新の世界の富豪ランキングで77位に入っている。リューは、2018年8月に米国でレイプ容疑で逮捕されたが、起訴は免れていた。 JD.comの株価は、その事件以降に3倍に伸びている。