中国政府は反発
中国当局は、自国の製薬会社が開発したワクチンに疑念が持たれるのは、中国に対する偏見と差別的な報道のためだと主張している。シノバックとシノファームの両社が直接、この問題について対応することはほとんどない。
中国当局は、後期臨床試験が完了する前から接種を開始した自国製ワクチンについて、その有効性を強く擁護している。ただ、シノファームのワクチンについて査読付きジャーナル「JAMAネットワーク」に発表された論文によると、「持病がある人、女性、高齢者に対する有効性は確認できなかった」という。
また、シノバックのワクチンについては、デルタ株に対する有効性を確認するための十分なデータが公開されていない。その他の製薬会社が開発したワクチンは、1回のみの接種の場合、デルタ株に対する発症予防効果は大幅に低下するとみられることがわかっている。
中国疾病対策予防センター(CCDC)のガオ・フー(Gao Fu、高福)主任は今年4月に出席した会議で、自国製ワクチンの「有効率が高くない」ことを認め、「問題解決の方法を模索している」ことを明らかにした。
だが、中国政府はその直後、この発言の内容を否定。SNS上から関連のコメントを削除するとともに、同主任を公に非難。高は共産党系の「環球時報」紙で、自身の発言に関する報道を「完全な誤解」だと語った。