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2021.06.23

子どもたちにITとの出会いや学びを提供。「Tokyo P-TECH」が担う未来のIT人材育成

デジタル化という「ゲーム」に参加するチャンス


「若い方には、デジタライゼーションやグローバライゼーションをネガティブにとらえるのではなく、デジタル化の大きなうねりの中に飛び込む『ゲーム』に参加するチャンスが来たんだと、ポジティブにとらえてほしいです」

そう語ったのは、「Tokyo P-TECH事業」の開始に先立ち、東京都 宮坂学副知事と参加各社との懇談会に出席した株式会社セールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼社長の小出伸一だ。

かねてより指摘されてきた通り、日本は諸外国に比べてITの活用が遅れている。2020年にスイスの国際経営開発研究所(IMD)によって発表された「世界デジタル競争力ランキング2020」(参考記事)でも、日本は63カ国中27位で、アメリカ、シンガポール、デンマーク、スウェーデン、香港といった上位国からは大きく水を開けられる結果となっている。

事実、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、企業はもちろんのこと、日本の行政におけるデジタル化の遅れも、顕著になった。ポストコロナにおけるテレワークや非接触型ビジネス、オンライン学習などをはじめとするIT需要の高まりも受け、今、IT人材の早期育成は国をあげた喫緊の課題となっている。

そうした中、不足するIT人材育成に向け、顧客関係管理プラットフォームを提供し、社会貢献や教育活動にも意欲的なセールスフォース・ドットコムをはじめ、日本IBM、シスコシステムズのIT企業3社によって、東京都教育委員会主導のもと、2021年4月に「Tokyo P-TECH事業」をスタートさせた。

動き出す「Tokyo P-TECH事業」


そもそも「P-TECH」とは、“Pathways in Technology Early College High schools”の略だ。アメリカでIT人材の不足が叫ばれていた2011年、貧困層が多いブルックリン地区の子どもたちの教育と就労機会に繋げるため、IBMとニューヨーク市教育局が連携し、開始された取り組みである。単に高度IT人材の育成というだけではなく、Underserved(機会に恵まれていない)な子どもたちにITとの出会いや学びを提供し、成長産業であるIT業界への就労の道筋を作ってきた。その後、各国の教育システムにあわせて広く展開され、現在は世界28ヵ国、240校以上で採用されている。

「Tokyo P-TECH事業」では、高校から成長産業であるIT業界での活躍の道筋を作るため、都立で唯一の総合情報科を有する都立町田工業高校と、ITに関する多様な学科、ITカレッジを設置している日本工学院八王子専門学校(学校法人片柳学園)が公教育学校モデルとして選定された。

「(生徒には)ITを学ぶことが、『ゲーム』に参加するためのチケットを取るぐらいの気持ちでやってほしいですね。その『ゲーム』に参加することで、もちろん負けることも勝つこともありますが、いろんな経験ができると思います」(前出・小出)


東京都教育委員会による「Tokyo P-TECH事業」開始についてのプレスリリース

IT人材育成に一役買うか


経済産業省が発表した2019年4月の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には、拡大するITニーズに対し、不足する国内のIT人材がおよそ79万人にものぼると予測されている。

「世の中すべてがITにどんどんくるまれていく社会になる中でITをやることの面白さは、フロントランナーに立てることですよね。もちろんやりたいことが決まっているのであれば別ですが、もしまだやりたいことの核が決まっていないのであれば、ITスキルは非常に役に立ちます。ITは1つのスキルとして身につけておけば、世界で仕事ができるようになると思いますね」

前述の懇談会にて、宮坂学東京都副知事は、ITスキルを学ぶ魅力をこう語った。

東京都でも2019年2月、「IT関連企業や専門学校等の高等教育機関と連携し、IT人材育成のための新たな教育プログラムを開発・実施」することを決定。2020年10月には関係機関による「Tokyo P-TECHコンソーシアム」を設置した。

具体的には高校1年次にIT企業の実務者による数回の講演などを通じて、基礎的要素を育成する。そして高校2、3年次において、基礎的なIT人材としての専門力と社会人としての基本的能力養成のため、職場訪問やキャリアセッション、技術講話や課題研究が実施される。

その後、専門学校の1、2年次には、インターンシップを実施するだけでなく、高校2年次から続くメンタリングを活用していくという。メンターによる就職支援、キャリア支援も行われ、生徒のキャリア意識も向上する。

さらに、生徒だけではなく、教員にとっても、企業がアクセスすることで社会に開かれた教育を肌で実感することができ、教員自身の意識も変化するだろうと期待されている。企業側からのアドバイスによって、社会で使う「生きたスキル」を学校の教育カリキュラムにも取り込むことができるようになるのだ。

参画企業にもメリットがある


セールスフォースにとっては、日本初となる公教育への貢献であるが、連携企業にとっても主に3つのメリットがあるという。

1つ目は、「社会課題の解決への貢献」である。ニューヨークおけるP-TECHの事例にもあるように、教育機会格差是正と平等な教育機会実現への貢献をするだけでなく、不足するIT人材育成に貢献できる点だ。

2つ目は、「社員のエンゲージメント向上」。連携するIT企業の社員が「IT」という本業を生かしたボランティアを行うことで、自身のスキルの有用性の認識とモチベーションを向上する。逆に、生徒からフィードバックにより「気づき」を得られ、自社の社員育成の改善にもつながる。

そして3つ目は、「社会における企業価値、ビジビリティの向上」だ。SDGsやESG投資への関心が高まるなか、各企業は企業市民としての役割を果たす。企業間連携のエコシステムに参加し、パートナーシップを通じて平等な教育機会の実現に貢献することで、社員が社会に貢献しているという実感がわき、企業帰属意識が向上するのだ。

「コロナ禍において、リモートワークやリモート学習、リモート医療などいろいろなことを経験されたと思いますが、そうした経験が今後10年、20年と大切になってきます。そのことをポジティブに捉え、大きなうねりの中に自ら飛び込んでいき、『ゲーム』を楽しむという気持ちでやってほしいですね。セールス・ドットコムも支援していきたいと思っています」(前出・小出)

今秋には行政のデジタル化を一元的に担うデジタル庁の発足を控え、IT化の波が急速に押し寄せてきている。これまでもIT化の流れは存在していたものの、奇しくもその流れを急がせたのは新型コロナ感染症であった。IT人材の不足が叫ばれる日本において、東京都は今後、「Tokyo P-TECH事業」実施校や連携先専門学校、企業の拡大を検討していくとしている。


Salesforce
https://www.salesforce.com/jp/

Promoted by セールスフォース・ドットコム/ Text by 金沢健太 / Edit by 千吉良美樹

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