ライフスタイル

2021.06.20 15:00

王者が帰ってきた。やはり新型ゴルフはハッチバックのお手本


エンジンもアップグレードされ、よりクリーンで経済的だ。今回試したのは、1.0リッター直列3気筒ターボエンジンを搭載する「ゴルフeTSIアクティブ」と、1.5リッター直列4気筒ターボの「ゴルフeTSI Rライン」。

この110PSと200Nmを発生する1.0リッターはすでに、Tクロスやポロに搭載されているけど、マイルドハイブリッドシステムと組み合わさった1.0リッターは低中速トルクは十分だし、2500回転からはジワジワと加速してくれる。シフトショックのない7速ATもエンジンとの相性がよく、試乗した箱根のアップダウンでは問題なかった。

ただ正直なところ、4人の大人と荷物を乗せると、その1.0リッターは長い登り坂と加速時に多少力んでる印象だった。さいわいに、ポロなどで感じたエンジンノイズや振動は気にならない程度に仕上がっている。

面白いことに、アクセルを緩めると、エンジンが停止したままコースティング(クラッチを切って惰性で走る状態)を起こすことによって18km/Lほど燃費を稼ぐ。全くエンジンブレーキがかからないと思った方がいいので、これも少し慣れが必要だろう。

eTSIを後ろからみた写真

もっとパワーが欲しい人や、家族を乗せて長距離クルージングをする人なら、150PS, 250Nmを発揮する1.5LターボのeTSI Rラインをおすすめする。その方が下のトルクが太いし、どの場面でも十分なパワーがある。やはり、アクセルを踏んだ時のパンチが違う。1.5リッター4気筒エンジンも、マイルドハイブリッドシステムが組み合わされたことで低回転から力強い加速が印象的だ。踏み込めば3000回転から勢いを見せ、レッドラインまで気持ちのいい加速をしてくれる。

走り好きなら、サスペンションのオプションを真剣に考えるべきだろう。1.0Lのトーションビーム式リアサスに対して、1.5Lにはより高度な4リンク式リアサスペンションを採用しているので、コーナーではクルマがより安定し軽快さを増し、動きにもキレを感じる。1.0L仕様もしっかりとコーナリングができるし、ステアリングも正確ではあるけど、4リンクはスポーティな遊び心と安定性はやはりひとつ上だね。

eTSIを横から見た写真

さて、結局はハッチバックのベンチマークをキープした新型ゴルフの価格はというと、1.0Lが312万円からなのに対して、1.5Lのスターティング・プライスは375万円と60万円の差。そんなにスポーティに乗らなくていいと思う人なら、燃費と質感の優れた1.0Lで十分。でも、もう少しキビキビに乗り回したいなら、1.5Lはおすすめ。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

 

文=ピーター・ライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事