このNFTの出現によって、「コピーが無数につくられてしまう」という常識は覆され、デジタルデータを実在の物品と同様に扱えるようになりました。これまでデジタル空間で実施できなかったデータ販売の手法を採用したり、アナログでは実現しなかった便利な機能を商品に付与したりできるようになったわけです。
私たちの慣れ親しんだ商品や物品の延長線上で、新しい表現を創出することが可能になったのは大きな変化です。では、NFTはどんなふうに活用できるでしょうか?
今回はNFTの具体的なユースケースをいくつかの類型に整理し、紹介していきます。
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個人であっても収益化が期待できる
1.トレーディングカードの発展型
トレーディングカードゲームといえば、「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」や「ポケモンカードゲーム」、古くは「マジック:ザ・ギャザリング」などをご存知の人も多いかと思います。
これらのカードゲームでは、発行者が制定するルールに基づいて対戦ゲームを遊べるほか、カード同士の交換や売買も盛んに行われてきました。トレーディングカード専門のショップや専用のC2Cマーケットアプリなども存在しているほどです。
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しかし、こうしたゲームをデジタル化したスマホアプリなどの場合は、ユーザー間でのカード交換や売買は、アプリ内容からは取り除かれることがほとんどです。また、先述のマーケットアプリなどを介して手持ちのデジタルカードを売買することはできません。いくらお金をかけたとしても、運営企業の提供する専用スペースで、貸与されたカードで対戦しているだけの状態です。
他方、NFTを用いたゲームの場合、実物のカードと同様に発行されたアイテムをゲーム外で自由に売買したり、他のゲームにカードを持ち込んで利用したり、利用料を取って友人に貸与することが可能です。
また、ゲームが終了した場合も、実物のカード同様に手元にNFTが残るためIP(Intellectual Property=知的財産)コンテンツに根強い人気があれば、数年後や数十年後にプレミアがつくことがあるかもしれません。
NFTを用いたトレーディングカードゲームのように手に入れたアイテムが「資産」となるのが大きな特徴と言えます。
2. コレクターズアイテム(サイン付きブロマイドなど)の発展型
スポーツチームや出版社などのIPやコンテンツホルダーが主体の事例で多数見られるのが、「コレクション性」を打ち出して販売されるNFTです。
いわばサイン付きブロマイドや、限定発売の複製原画などの延長にあるユースケースと言えるでしょう。
海外で人気を博している「NBA top shot」などは、この典型例で、NBA選手のスーパープレイのシーンを収めた短尺動画をNFT化して販売しています。これは往年の「ベースボールカード」などを思い出させます。
ファンが多数存在しているIPやコンテンツの場合、特定のアイテムが仮に誰でも閲覧可能なものであったとしても、「公式に数量限定で販売した」という事実だけで、コレクションとしての販売が十分可能になります。