最初に大きな注目を集めたのは2月、ツイッター創業者のジャック・ドーシーが同社のサービスで最初に投稿したツイートや、テスラ創業者のイーロン・マスクのデジタルアートに、オークションで数億円の価値が付いた時でした。
それ以降、日本を代表する現代芸術家の村上隆、音楽グループのPerfume、ロックバンドのBABYMETAL、VRアーティストのせきぐちあいみ、女性タレントの波多野結衣など、各業界で先進的な活動に取り組むクリエイターたちがこぞってNFTを発行すると発表しました(村上氏は後に発行を中止)。
こうした状況が半年も続いていますから、すでに「NFTとは何か?」「具体的にどんなユースケースがあるのか」などについて調査をして、自分なりのイメージを持たれている人も増えつつあると思います。
他方で、「どうしてそこまでの価格が付くのかがわからない」「仮に価格が付くにしても、いまの盛り上がりや価格には懸念がよぎる」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
私自身も長らくブロックチェーンに関わってきた人間ですから、今回NFTをきっかけにブロックチェーン技術がより多くの人に知られるようになることは大変嬉しく思うと同時に、かつての仮想通貨・ICOバブルの時のようなことを繰り返さず、うまく世の中に取り入れられてほしいと願っています。
NFTはデジタルデータに「鑑定書」をつけたようなもの
まずは最も基本的なNFTの仕組みや概要について、説明しましょう。
NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)は、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の兄弟のような存在とされています。暗号資産が通貨のような価値をブロックチェーン上で発行しているのに対し、NFTはイラストやコンテンツなどさまざまなデジタルデータをブロックチェーン上で扱おうというものです。
両者の共通点には、発行される数量が限定的であること、データを容易に複製したり偽造したりするのが難しいこと、そして世界中の誰もがサービスの垣根を超えて利用できることなどが挙げられます。
一方で、両者には明確な違いがあります。それは、暗号資産が持つ代替性(Fungibility)を、NFTは持っていないという点です。
「代替性」とは読んで字のごとく、同性質のもので取り替えが効くかどうかを意味します。