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ブロックチェーンビジネス最前線


例えば、配信サイトの「少年ジャンプ+」で購入した電子書籍はKindleリーダーで読むことはできませんが、実際の書籍であればいつでもどこでも読めますし、メルカリに出品したり、友達に貸したりすることも可能です。

このように従来のデジタルデータはサービス内のデータへのアクセスを事業者から制御されており、他サービスなどに持ち出すことが基本的にできないのに対し、NFTはブロックチェーン上で発行されているため、ブロックチェーン上のデータを参照することでサービスの垣根を超えてユーザーが自由に扱うことができます。

デジタル化には海賊版やコピー品の流通といった負の側面があり、これに対処するためにコンテンツ業界は様々な対策やサブスクリプション型へとビジネスモデルを発展させてきました。NFTの登場は、従来のアナログ物品の販売モデルを再起させる可能性を秘めています。

NFTの魅力となるもう1つの側面は、物品と同じような性質を備えていながらも、あくまでデジタルデータとしての利便性を失っていない点にあります。

デジタルデータの利便性として真っ先に思い浮かぶのがグローバル展開の容易さです。例えば、日本で販売されたアニメ複製原画を海外のファン向けに販売しようと思うと、その流通や販売には別途現地でのサポートが必要になるでしょう。しかし、デジタル空間で発行されるNFTであれば、国内外を問わず誰もが平等に購入することができます。

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Getty Images

また、現実の物品を販売しようとすると、その過程でどうしても在庫が生じてしまいます。そのため、売れ残りが生じた場合などには、この在庫を管理したり処分したりするための費用が発生し、同人誌やインディーズアーティストにとっての負担となっていました。これに対し、NFTはデジタル空間で発行するだけですから、現実世界で生じる在庫コストを限りなくゼロにすることができます。

さらに、NFTはデジタル空間上で発行されるため、さまざまな機能(プログラム)をそのデータ自体に持たせることができます。例えば、フリーマーケットで数量限定販売した同人誌は、転売されても作者に利益が一切還元されませんが、NFTなら「転売時に元の作者へ10%の利益を自動支払する」といった機能を持たせて発行することが可能です。

このように、NFTはアナログな物品とデジタルデータの良いとこ取りを可能にするという点で大きな魅力を持っています。

現在NFTは、それらの魅力が期待され、アートや出版、音楽などさまざまな業界の新しい表現手法として急速に注目を集めています。

とはいえ、例えばVRやARなどがマスアダプション(大規模普及)に時間がかかっているように、単に表現が新しいというだけでは多くの事業者がかなりのスピード感を持って参入することは困難でしょう。

また、暗号資産の高騰が小休止を迎えたいま、NFTバブルも崩壊に近づきつつあるという懸念も生じています。NFTがバブルなのか、それとも社会に根付くものなのかを見極めるには、現在のNFT価格の膨張がなぜ生じているのかを、考えなくてはなりません。

次回以降、実際のNFTの活用方法やこれからの課題について説明していきたいと思います。

連載:ブロックチェーンビジネス最前線
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文=森川夢佑斗 編集=藤本賢慈

ブロックチェーンNFT仮想通貨
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