新型コロナの抗ウイルス治療薬で入院患者の死亡リスク低下が確認されたのは初めて。
リジェネロンは、2種類のモノクローナル抗体を組み合わせてウイルスを無力化する抗体カクテル薬を開発している。治験データからは、この薬の投与によって、体の自然抗体応答が始まっていなかった入院患者の死亡リスクが20%下がることがわかった。
研究は独立した専門家による審査はまだ受けていないものの、これらの入院患者に対しては、▽入院期間が約4日短くなる▽人工呼吸器を使う必要性が下がる──といったほかの効果も認められたという。
リジェネロンは16日、この抗体治療薬について、治験で得られたデータを活用して、米国で受けている緊急使用許可の対象拡大に早急に取り組む考えを示した。現在は重症化リスクのある外来患者向け用いられている。
研究を共同で率いているオックスフォード大学のマーティン・ランドレー教授は、「抗ウイルス治療について新型コロナの入院患者の命を救うことが初めて示され、素晴らしいニュースになった」と歓迎した。
治験では、自然抗体応答が始まっていた患者に対しては効果がみられなかった。この研究に助成している英医学研究協議会(MRC)のトップ、フィオナ・ワット教授は、治療する側はこうした結果を踏まえ、効果が見込まれる患者に優先して薬の投与ができるようになると述べている。
ドナルド・トランプ前米大統領は昨年秋、新型コロナウイルスへの感染が確認されたあと、当時はまだ試験段階だったこの薬を「予防措置」として投与されている。