NFTの次に知りたい「dApps」を攻略 東京発NFTカンファレンス白熱討論

オープニングに登壇するブロックチェーンコンテンツ協会代表理事の國光宏尚氏


ブロックチェーンゲーム「The Sandbox 」のSebastien Borgetは「人々がデジタルアセットを持って交換する発想はもともとあったが、NFTをトレードして遊ぶユーザーが増えたことで、ゲーム開発者に力点を置きすぎるのではなく、ユーザーが何をするか考えないといけない」時代がやってきたと指摘した。同社は1年以内にメタバース(仮想世界、メタ (meta-) とユニバース (universe) の合成語)においてコンサートを実施する予定で、メタバースとNFTを融合させた大きな変化をもたらすと期待されている。

巨大IPの可能性と意外な落とし穴


モータースポーツ系のブロックチェーンゲーム「REVV Motorsport」のMatt Solomon は、自身も元レーサーという異色のキャリアを持つ。この業界に飛び込んだのは、まだ昨年末であると吐露。しかし様々なプロジェクトがサーキット上のようなスピードで進む点、少々驚いているようでもあった。

Non Fungible Tokyo
「REVV Motorsport」のMatt Solomonは元レーサーという異色のキャリアを持つ。

同ゲームのプロモーションのため、米モータースポーツ現インディ・シリーズの前身「CART」で年間チャンピオンに輝き、インディ500で2度の優勝、F1でも7度の優勝経験を持つドライバー、ファン・パブロ・モントーヤと契約。こうしたレジェンドとの契約はユーザー獲得にやはり大きなインパクトをもたらすとし、「巨大IPは(dAppsゲームにおいて)エコシステムを構築する大きなピラー」との考え方を示した。ゲームにおけるIPとは、ゲームタイトルやキャラクターなどの知的財産を指すことが多いが、ここではアスリートの肖像権なども含む。

こうした動きについて前出のJeffreyは、「(プレーヤーが)ブロックチェーンおたくから、一般ゲームユーザーに移ってきた」とユーザーの裾野の広がりに繋がっているとも主張。確かにふだん熱心にゲームをプレーするタイプではない私のような一般人にとって、レジェンドアスリートの起用は、ゲームに対する興味喚起の起爆剤ともなりえるだろう。

ただし、これに先立ち前日行われたジャパン・セッション「Prospects for content-based dApps services」においては、NFTに詳しいKyuzenの高橋卓巳代表が「NBA、欧州サッカーのようにトップIPを見てNFTにする」のは少々浅はかであるという見解を示し、「単純にデジタルコンテンツをNFTにするだけでは失敗する」と釘を刺している。

これはまさに冒頭で國光氏が述べたガラケーからスマホのトランジッションにおけるコンテンツの変容と同様に、デジタルコンテンツをNFT化するという単純発想から脱却し、NFT時代におけるコンテンツを根本から考え直す必要性を提示している。

NFTを巡るデジタル経済圏は今後、どう発展して行くのか、目が離せない時代がやってきた。

文=松永裕司(Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト)

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