快適なラグジュアリーシューズ

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は6月号(4月24日発売)より、「オニツカタイガー」のドレスシューズをピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):今月はスニーカーで人気の「オニツカタイガー」ですね。高校、大学と野球をやられていた森岡さん、「オニツカタイガー」のスパイクを履かれていたのではないですか。

森岡弘(以下、森岡):たぶん履いていたとは思うのですが、球ばかりいつも追いかけていて、よく覚えていないですよ(笑)。

小暮:私は学生のころ、サッカーをやっていまして、スパイクは「オニツカタイガー」でした。実は、昨年の春、神戸にある本社を取材していまして、アーカイブとして残されている名靴を実際に拝見させてもらいました。

森岡:小暮さんはスニーカー好きなので、楽しい仕事だったのでは。

小暮:創業者の鬼塚喜八郎が「オニツカタイガー」立ち上げたのが1949年。初めて製作したスポーツシューズがバスケットボールシューズ。マラソンなどの陸上用のシューズ等で多くの選手が好成績を収めるなか、77年に総合スポーツメーカーを目指して、「ジィティオ」と「ジェレンク」の2社と対等合併し「アシックス」が生まれました。そのときに、「オニツカタイガー」は一時ブランドが休止になってしまいましたが、2000年代になると内外から復活を望む声が多数上がり、02年に「オニツカタイガー」は復活を遂げて、現在に至るのです。

森岡:グラウンドであの「オニツカタイガーストライプ」を見ない日はなかったもので、合併した後もずっと「オニツカタイガー」は続いていると思っていたのですが……。

小暮:02年の復活ではシューズだけでなく、アパレルからアクセサリーまで含む展開で、方向性もスポーツではなくファッションにターゲットを絞ったと聞きました。

森岡:クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』でもユマ・サーマンが履いていましたよね。

小暮:もともと海外から復活を望む声が多かったらしいのですが、この映画によってヨーロッパから人気に火がつき、世界中に。もちろん日本にも人気は飛び火しました。

森岡:原宿などのショップでも海外からのお客様がいつもいっぱいですものね。

小暮:ヘリテージを大事にしたレトロなデザインとクオリティの高さが海外の人からも支持されたのだと思います。今回紹介するのは「ジ・オニツカ」というラインですね。
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photograph by Masahiro Okamura text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.082 2021年6月号(2021/4/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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