ビジネス

2021.06.19

フロントグリルの「盾」はダテではない。実力派SUV

ブランドの力とは、ひとを幸福にしてくれるところにある。自動車でも、その名を聞いただけで、乗る前から期待に胸がふくらむような企業がある。

代表例はイタリアのアルファロメオではないか。ここの製品の特徴は、スポーティなスタイルで、かつ走りが楽しい。

古いアルファロメオが好きなひとも多いものの、アルファロメオがいまも健在なのは、レースで強かったクーペといった過去のイメージに拘泥していないからだ。現代的なSUVづくりもうまい。好例が、2018年に日本で発売された「ステルヴィオ」だ。

スポーツカー好きが走りを競うイタリアアルプスのステルヴィオ峠を車名にしたのも納得な性能ぶりだ。とりわけ「2.0ター ボQ4」は、ひとことで言って、SUVのかたちをしたスポーツカー。アルファロメオというブランドへの期待を裏切らない、加 速性とハンドリングのよさ。目がさめる操縦感覚だ。

206kW(280ps)の2リッター4気筒エンジンは、ひとむかし前なら3リッター超の6気筒並みのパワフルさだ。「DNAシステム」なるドライブモードセレクターでスポーツモードの「D」が特によい。操舵感覚が重くなり、8段オートマチック変速機は高めのエンジン回転数を保つようになる。アクセルペダルを少し踏み込めば、猛然という感じでダッシュする。4気筒のコンパクトさゆえ、いわゆる“鼻先”が軽く、コーナリングが楽しい。スポーティなSUVが人気の昨今、ステルヴィオQ4に乗らずして何に乗る、という感じだ。

しかも、フロントマスクの盾型のグリルは、おおいに魅力的で、アルファロメオへの憧れを胸に抱きながら、週末のゴルフなどいろいろな事情でSUVを選択しなくてはならないひとを、このクルマならきっと満足させてくれるだろう。期待を裏切らないことも、一流ブランドの大事な条件だと教えてくれるクルマだ。

アルファロメオが愛されてきた理由がわかる


世の自動車好きは、洋の東西をとわず、アルファロメオを好む傾向にある。そして大きな魅力として挙げられるのが、躍動的なデザインだ。戦前から今日に至るまで、アルファロメオのデザインの歴史を概観するために、格好の素材がある。ebook「Passione(パッシオーネ)」だ。アルファロメオの公式ホームページで読むことができる。13世紀後半から15世紀中頃までミラノに君臨していたビスコンティ家の家紋「ビショーネ」(ひとをのむヘビ)をエンブレムに使った理由にはじまり、ミラノ公国時代から現代まで続く、建築、家具、乗りもの、ファッション、食事、それにミラノデザインウィークが代表するモダンデザインまで、ここで生み出された文化を背景に、ほかに類のない独自の美を生んできたアルファロメオのプロダクトの数々にまつわる物語を存分に堪能できるだろう。

駆動形式 4輪駆動
全長 4690mm
全幅 1905mm
全高 1680mm
パワー 206kW、400Nm
価格 ¥7200000(消費税込み)
問い合わせ Alfa Contact 0120-779-159





text by Fumio Ogawa photographs by Tsukuru Asada(secession)

この記事は 「Forbes JAPAN No.082 2021年6月号(2021/4/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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