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2021.06.20

「ギルトフリー」なチョコをもっと。トニーズチョコロンリーが出店拡大

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オランダのチョコレートメーカー「トニーズチョコロンリー」が製造・販売する「ギルトフリー(社会的不公正のない)」の大きな板チョコがここ数年、米国でじわじわと売上を伸ばしている。同社は、新型コロナウイルスのパンデミックで旅行が制限されているなかで空港に独立型店舗をオープンし、ますます勢いづいている。

トニーズチョコロンリーは2021年6月はじめ、アムステルダムのスキポール空港内に独立型店舗を試験オープンした。スキポール空港は2020年に、ロンドン・ヒースロー空港を抑えて「欧州で最も忙しい空港」に選ばれている。空港利用者は、パンデミック前の7000万人から、2020年には2090万人に減ったが、年内には2019年の65%まで回復すると期待されている。

トニーズチョコロンリーの輸出および免税販売部門のマネージャー、Ivan van KootenはForbesに対し、「今のところ新たな部署を立ち上げるつもりはない。しかし、当社には大きな志があり、今後は世界各地に独立型店舗を増やしていく予定だ」とコメント。トニーズチョコロンリーの商品は現在、全米各地の空港およそ50カ所と、欧州各地の空港およそ20カ所で販売されている。

利益よりも社会的インパクトを第一に据えている同社は、現代の奴隷労働に一切依存しないチョコレートの製造を目指している。そのミッションを本気で追求するのであれば、空港での販売強化と独立型店舗の展開は、知名度という観点から見ても当然の戦略だ。

同社は2005年、食品の生産や安全性を調査・暴露するオランダの人気番組「Keuringsdienst van Waarde」に出演していたジャーナリスト3人によって創業された。きっかけは、大手チョコレートメーカーが、不法な児童労働と現代奴隷によって生産されるカカオを仕入れていると知ったことだ。

トニーズチョコロンリーは創業以降、ガーナやコートジボワールのカカオ生産者と長期的な直接取引を結び、社会的意識の高いオランダで、瞬く間に業界大手の仲間入りを果たした。


Olivier Matthys/Getty Images

世界進出もしており、米国と英国では、パンデミック中の売上がとりわけ好調だ。米国では倍増、英国では3倍に成長したほか、進出してわずか2年で黒字化も達成している。

2019年10月から2020年9月までの12カ月間を見ると、米国では売上が1000万ユーロを超えたほか、英国では870万ユーロに達し、EUの580万ユーロを大きく上回った。主要市場であるオランダの売上は6350万ユーロと、引き続き群を抜いている。総売上は、前年の6960万ユーロから、27%増の8840万ユーロと大きな伸びを見せ、利益は26万1300ユーロとなっている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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