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2021.06.22

10年かけて発見した、「100年先」の未来──IT業界、破壊と再生に挑むDXのスペシャリスト

「将来的には、インターネットは空気のような存在になると思っています。オンラインとオフラインの境界のない世界をつくっていきたいんです」

そう語るのは、Fabeee代表取締役社長CEOの佐々木淳。DXコンサルティングやソフトウェア開発などを手掛ける同社は、2021年4月にシリーズAとして1.1億円の調達を発表したばかりだが、創業は2010年。すでに11年目を迎えており、受託開発やSES事業で日々の資金繰りに窮していない点でも、他のスタートアップとは状況が異なる。

なぜ佐々木は、このタイミングで上場を目指す選択をしたのだろう?

聞くと、創業からの10年は「失敗の連続」。紆余曲折を経てようやく挑むべきビジョンを見定めたのだという。

まさにここからが飛躍のフェーズ。苦節10年を経て、挑戦の舞台を整えた起業家の夢とは。

「ビジネスへの勘はよかった。ただ、やりきれなかった」


驚くほど純度の高い本音とともに、佐々木は創業経緯を明かした。

「正直、自己実現の欲求を解消するための起業でしたね。『20代で何か成し遂げたい。こんなに狭い組織の中にいていいのか?』と自問自答していました」

表裏のない人とは、彼のような人のことを言うのかもしれない。

不動産業界で営業としてキャリアをスタートし、人材業界を経て独立したのは社会人7年目の頃。会社員時代にはMVPを受賞するなど高く評価されていたが、さらに上を目指す気持ちが起業の縁を呼び寄せた。

「人材コンサルタントとして自分が面談した転職志望者と意気投合して、写真を中心としたコミュニケーションサービスを展開する会社『フォトメ』を2010年に立ち上げました。インスタグラムが同年にリリースされたことを考えると、決して的外れな事業ではなかったのですが、非常に無計画だったのですぐに倒産の危機を迎えてしまったんです」

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その後は、SESや受託開発で日々のキャッシュを稼ぎつつ、さまざまな事業にチャレンジしてきた。2014年にはスポーツ動画のキュレーションアプリをリリース。2016年にはプロ野球のドラフト制度を応用したフリーランスエンジニアのマッチングプラットフォームの開発に臨んだ。しかし、どれも成功とは程遠い状況で頓挫してしまう。

アイデアは悪くない。むしろ、時代のニーズを的確に掴んでいるように見える。佐々木は失敗の要因を次のように分析していた。

「共通しているのは、僕がやり続けなかったこと。浮気心から、ビジネスチャンスがありそうなサービスをつまみ食いしてしまった結果、一つひとつの事業を粘り強く育てられませんでした。

最大の要因は、会社として目指すべき方向が決まっていなかったことにあると気づき、ゴールを50年、100年先に実現できるであろうずっと先の未来に定めることにしました。そうすれば、達成するまで僕が辞めないから。ずいぶん遠回りしましたが、やっと歩むべき道を見つけられました」

オンラインとオフラインの境界線のない世界を実現する道程


「オンラインとオフラインの境界線のない世界を実現する。」という壮大なビジョンは、そんな佐々木の“遠回り”から生まれた。

まるで蛇口をひねると水が出てくるように、インターネットが生活に溶け込んだ世界をつくりたいのだという。

しかし、一体どうすればこのビジョンを実現できるのか?それすら見えていないステージに自分たちはいる。それなら、まずはそうしたビジョンを実現できるだけの活動サイクルを確立するべきではないか──。

そう考えた佐々木たちが開発したのが、プロジェクト管理ツール「EPQOT(エプコット)」と、カスタムフレームワークの「ALICE(アリス)」だ。

「僕らはDXコンサルティングやエンジニアアウトソーシングなどの既存事業で、さまざまな企業のDXをサポートしています。そこで得られる失敗事例や成功事例のデータを、まずはプロジェクト管理ツールの『EPQOT』に蓄積していく。ゆくゆくは、『ALICE』が『EPQOT』のデータを参照しながら、クライアントの業務システムを自動的につくれる仕組みを目指しています」

例えば、メーカーが自社のECサイトをつくりたい場合、要件を「ALICE」に伝えると、「ALICE」が「EPQOT」の情報を参照しながら、ECサイトを自分で開発してくれるのだという。

正直、面を食らった。

ただ、彼らのビジョンが50年、100年先に設定されていることを忘れてはならない。この事業に挑戦する背景には、「IT業界のあり方を変えたい」という佐々木の強い想いもある。

「今多くの企業は、『デジタル化が進まない』『データ活用ができない』『新規事業を生み出せない』という三つのステップのどこかでDX化に躓いています。

その原因は、現在のIT業界におけるDXの担い手が、企業のニーズに十分に答えられていないことにあります。パッケージソフトウェア会社は企業に合ったオーダーメイドのシステムをつくれない。ITコンサル会社は低コストでの提供ができない。SIerはスピード感のある開発ができない。そういう状況にあるんです。

この3つのポイントを解決しなければ、日本企業のDXはいつまで経っても前に進みません。僕らの挑戦は、IT業界を新しい産業に作り変える試みでもあるんです」

IT業界の構造改革に挑むということは、当然、自分たちの足場を揺るがすことにもつながりかねない。迷いなく挑戦できるのは、佐々木がずっと先の未来を見ているからなのだろう。

「僕は100年後も今のようなエンジニアが必要なのかというと、疑問に思います。昔のエンジニアの多くはフルスクラッチでゼロから開発していましたが、今はライブラリやツールを活用してますよね。業務が楽になってきている状況を考えると、いずれは仕事自体がなくなるかもしれません。日本のIT企業は自分たちを再定義しなければ、生き残れなくなる時代がやってくるのではないでしょうか」

佐々木はDXに関する一連の取り組みを「事業1.0」と位置付けている。つまり、彼らが今後挑む事業はこれだけではない。

「EPQOT」と「ALICE」を通じたデータの蓄積・活用により、「事業n.0」としてX-Tech領域での複数事業を展開していく。すでにHR Tech領域では、従業員データを活用した組織開発支援ツールの開発が進んでいるようだ。

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“筋肉痛”を乗り越えて向かう未来──「マザーズ上場で満足できない」


ビジョン実現への熱い想い。そして、少々のコンプレックスが佐々木の原動力だ。

「昔は、受託開発やSESをやっている自分たちのビジネスモデルにコンプレックスがあったんです。でも視点を変えてみると、なんて素晴らしいビジネスなんだと気づきました。キャッシュを稼ぎながらデータを貯めて、それをもとにプロダクトを開発できる。未来を変えるのに、これほどいい事業形態はないんじゃないかと思います」

腰を据えて取り組む目標が明確に定まった今、Fabeeeは転換期を迎えている。

「ビジョンを実現するためには、蓄積したデータを事業開発に活用するサイクルの定着が必要です。その文化が今年一年で浸透すれば、Fabeeeは突き抜けられる。少しビビってますが、今期は赤字でも構わないから攻めていこうとメンバーに言っているんです。今は組織が変化を求められている、筋肉痛の状態です」

佐々木は明るい笑顔でそう言った。創業から10年以上の時を経て、本格的にIPOを目指していくからには、今まで通りのFabeeeではいられない。

「既存事業によるキャッシュエンジンがある状態で、イノベーティブな事業に取り組む。Fabeeeっていわゆる『おじさんスタートアップ』ですよね(笑)。ただ、このステージから上場に向かうからには、マザーズ上場なんかで満足するつもりはありません。海外市場への上場も視野に、本気でビジョンの実現を追求していきます」

こう言っては悪いかもしれないが、佐々木に「おじさんスタートアップ」という言葉は全く似合っていなかった。全身からほとばしるポジティブなエネルギー、そして何一つ包み隠さず語る姿勢からは、少年のような瑞々しさすら感じられる。

しかし、人並み以上の「失敗」を経験しているのも事実。自分の弱さを知っても逃げることなく、全てを糧にして成長してきた。

そんな起業家が心から微笑む瞬間を、見てみたいと思った。

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