幕張メッセで開催された民間ドローン専門展示会に出展したソニーグループが記者を集めて開催したグループインタビューに、同社執行役員 AIロボティクスビジネス担当の川西泉氏が登壇。新しいドローンの展望を記者の質問に答えながら語った。
デジタルカメラ“αシリーズ”のためにつくられたドローン
ソニーといえばコンシューマー向けのブランドというイメージが一般には強いだろう。しかし実は、業務用の放送制作機器を多数展開する業界のリーディングブランドでもある。今回ソニーが初めて製品化したドローンは、プロの映像クリエイターの創作の可能性を広げることに主眼を置いて開発された。川西氏はAirpeakというネーミングに“創造の頂き”という思いも込めたと語る。
無人の飛行型ドローンは、2014年前後から世界のエレクトロニクス市場で脚光を浴びるようになった。日本では2015年の春に首相官邸の屋上に小型のドローンが落下する事件が起きたことを契機に、飛行ルールに関する厳密な法制度整備が進んだ。海外では日本に比べるとドローンの飛行制限が緩い国や地域もあるが、現在は一時期のブームが少し収まりつつあるようだ。
ドローンのまわりに派生するビジネスチャンスもBtoB向けの物流、整備点検、またはAirpeak S1のようにプロフェッショナルによる映像撮影など主に産業用途を中心に芽吹いている。
Airpeak S1の開発を立ち上げた頃、ソニーの中にもドローンのコモディティ化を指摘する声が上がり、プロジェクトを進めることに反対意見もあったそうだ。一方でハイエンドクラスの業務用ドローンに狙いを定めて、その可能性を精査した場合にソニーが培ってきたデジタルイメージング、センシング、AI・ロボティクス、モバイル通信などの先進技術をいかんなく発揮できる領域でもあったことから、挑戦する価値ありという決断に至ったという。
AIペットロボット「aibo」やソニーによる自動運転技術のコンセプトカー「VISION-S」のプロジェクトを担当する、ソニーグループ AIロボティクスビジネスグループ 執行役員の川西泉氏
川西氏は「カメラ側の視点から見れば、Airpeak S1はデジタルミラーレス一眼レフカメラ“αシリーズ”のためにつくられたドローン」であるとして、その特徴を説明する。
本体のボトム側に映像のブレを抑えるためのジンバル(電動式の回転台)を装着してから、ソニーのα(アルファ)シリーズのカメラを固定する。上級機種を中心に対応するカメラ本体、レンズも数多くある。Airpeak S1はカメラを装着した状態で、最高時速90kmのスピードで風を切り、ダイナミックに飛びながら動画・静止画を撮影できる。