ソニーがドローン市場に参戦 「デジカメのためのAirpeak」の勝算

ソニーが国内のドローン専門展示会に出展した初の無人飛行型ドローン「Airpeak S1」


ソニーの強みを「安定飛行」に活かす


Airpeak S1の開発において特に重視したポイントは、飛行性能・安全性・撮影性能の3点をバランス良く備えることだった。本体を制御する心臓部はクアルコムの統合アプリケーションプロセッサ、ソニーの自社開発によるビジョンセンシングプロセッサ、飛行制御のためのフライトコントローラーを合わせた「3つの半導体」だ。

他社のプロフェッショナル向けドローンに対するAirpeak S1の絶対的な優位性について、川西氏は「飛行の安定性」であると明言する。鍵を握るコアパーツは、浮力の高いプロペラを低回転でゆっくりと回せる自社設計のブラシレスモーターだ。

それぞれを組み合わせた機構を工夫することにより、モーターにパワーをかけた際、一気に加速して安定飛行を持続、繊細な動作をも合わせて実現する。基幹ハードウェアをすべてソニーの技術により自社で開発できた強みがここにも活きている。


安定飛行を実現するブラシレスモーターを自社設計により開発した

本体には前後左右下、5つの方向に向けて2眼レンズを持つステレオカメラを配置する。これは撮影用ではなく、立体空間をリアルタイムに認識しながら高精度な自己位置推定と地図作成を同時に行うシステム(SLAM)を構成するカメラだ。高精度な自己位置測定システムがリモコンを握るドローンのパイロットを強力にサポートする。なお、ドローンと送信機との間は2.4GHz対のデジタル無線通信により接続され、最大2kmの伝送距離をカバーする。


本体に搭載する5つのステレオカメラが高度な自己位置測定を実現する

ソニーはドローン本体を制御するためのWebアプリ「Airpeak Base」と、その多彩な機能を管理するためのクラウドプラットフォーム「Airpeak Plus」、ドローンの飛行と、装着したカメラ・ジンバルをリモコン操作するためのモバイルアプリ「Airpeak Flight」も製品にバンドルされるソフトウェアとして提供する。これらのソフトウェアもソニーが自社で開発している。


モバイルアプリ「Airpeak Flight」をiPad、iPhoneにインストールして、専用の送信機で操縦する
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文=山本 敦

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