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2021.06.21

「カンヌライオンズ」今年は完全オンライン開催 6月21日から

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BLT(Black Lives Matter)運動に関連する、世界の分断の克服を題材とした応募作品にも注目が集まりそうだ。例えば、Beats by Dr.Dreの「You Love Me」だ。

Beatsは、高性能のヘッドフォンやイヤフォンで人気のブランド。Dr.Dreはヒップホップ界を代表する黒人の音楽プロデューサーでBeatsの創設者だ。企画のボードを見ると、「YOU LOVE BLACK CULTURE, BUT DO YOU LOVE ME?(あなたはブラックカルチャーを愛している、でも私を愛している?)」と問いかけている。


Beats by Dre / Beats by Dr. Dre Presents "You Love Me"

多くの人たちが黒人音楽をはじめとするブラックカルチャーに魅せられているのに、現実の生活では黒人に対して差別的意識を持っているのではないか?という、根源的な問題提起だ。黒人音楽をブランドのコアに持つBeats by Dr.Dreだからこそ提議できる内容だと言える。

世の中の情勢に対して特にフォーカスしたものではないが、普遍的なアイデアの面白さで勝負する応募作品も注目を集めるだろう。

たとえば、IKEAの「Buy with your time」。IKEAの大型店舗は、どこの国でもだいたい都心部から少し離れたところにあるが、ビデオの最初に出て来るのは、東京近郊の地図で、都心部と船橋市にあるIKEAが図示されている。

続いて、シドニーやニューヨークなどのIKEAの場所も示される。どれもそこそこ都市の中心部からは遠い。

それでもIKEAに買い物に来てもらうために何をしたか? なんと「IKEAに来るのにかかった時間」で、支払いが割引されるようにしたのだ。客はグーグルマップの機能で、来店までにかかった時間を店員に示す。すると時間に応じて、相当分の支払いが免除されるというキャンペーンだ。



商品に付けられた値札には、価格に相当する「時間」が表示され、レジで店員から「お支払いは、キャッシュですかクレジットカードですか時間ですか?」と尋ねられる。

もちろん最新のテクノロジーあってこその企画だが、世の中の動きや傾向と直接リンクしているわけではないこうした応募作品の中にも、興味深いものがある。果たして今年注目される企画はどんなものになるだろうか。

連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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文=佐藤達郎

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