先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

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世界最大の広告関連のフェスティバルである「カンヌライオンズ」が、今年は6月21日から25日まで、オンライン開催される。昨年はコロナ禍により中止となったため、2年分の応募作品が審査対象だ。

国際的な広告賞として60年以上の歴史を持ち、多大な影響力のあるカンヌライオンズだが、正式名称から「広告」の2文字が消えたのは、2011年のこと。広告界やマーケティング界の企画が、テレビCMや新聞広告など単体の広告で勝負していた時代から、SNSの活用などを含めた統合型へと移行する変化を受け、「カンヌ国際広告祭(Cannes Lions International Advertising Festival)」から、「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」となったのだ。

つまり「広告(Advertising)」が「クリエイティビティ(Creativity)」に置き換えられたことになる。

カンヌライオンズをウォッチするメリット


筆者は、この南フランスのカンヌで開催されるカンヌライオンズに延べ16回足を運び、「研究者」として受賞作のウォッチングを続けてきた。この連載コラムでも、カンヌライオンズ受賞作の中から紹介している企画も多い。

実は、カンヌライオンズ受賞作をウォッチングすることは、広告の専門家ではない人たちにも大きなメリットがある。それは以下の2つの理由からだ。

1つは、世界に数多くある広告コミュニケーション企画の中でも、目利きであるカンヌライオンズの審査員たちが選んだ作品に絞って見ることができることだ。いわば審査員となる一流の広告業界の人間によるキュレーションの結果だけを見ることができる。

もう1つは、点ではなく、線や面で広告をとらえることができることだ。統合化し複雑化している広告コミュニケーションは、特に海外のものの場合、断片的に触れただけでは理解しがたいものが多い。その点、カンヌライオンズで見られるものは、2分ほどのビデオと1枚のボードに、課題や施策や結果がコンパクトにまとめられていて理解しやすいのだ。

今年は、この連載コラムでも取り上げた2020年のバーガーキングナイキの企画も、有力な審査対象となるだろう。

そこで、現時点で予想される今回に特徴的な傾向と、具体的な応募作品を事前に紹介していこう。なお現時点では応募ビデオが公開されていないので、YouTube上にある、企画の概要がわかる動画で紹介する。

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今年の傾向としては、まず「コロナ禍」の状況を題材としたものが多く見られることだろう。

まずは、Doveが手がけた「Courage is Beautiful」。Doveは石鹸やスキンケアのブランドで、長年、「人それぞれが持つその人なりの美しさを大切にしよう」という内容の「リアル・ビューティ」を謳ってきた。

そのDoveがコロナ禍での医療従事者へのリスペクトを真正面から表現した動画が「Courage is Beautiful」だ。


Dove US Dove | Courage is Beautiful

医療用マスクやゴーグルを長時間装着したためにその跡が「傷」のようになってしまっている最前線の医療従事者たちの顔を次々と積み重ね、そこに「Courage is Beautiful(勇気は美しい)」のコピーが現れる。この広告は2020年の4月にアップされており、コロナ禍の状況に素早く対応した秀作だった。

文=佐藤達郎

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