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2021.06.17

「ドージコイン」とは一体なんなのか?

Getty Images

ミームとして始まったあの仮想通貨については、あなたもこれまで耳にしたことがあるだろう。いま必要なのは、ドージコイン(Dogecoin)とはいったい何なのかを把握することだ。

ほとんどの人は、ドージコインをジョークだと思っている。実際、ドージコインは、ビットコインに反応したジョークのようなものとして生まれた。ドージコインの「始まりの物語」はシンプルだ。通貨がオンラインで共有される世界であれば、誰もがオンラインで共有したがるお気に入りもの(つまり、ミーム)にちなんだ新しい通貨をつくってはならない理由がどこにある? というものだ。

以下では、さらに細かく噛み砕いて、ドージコインが重要でありながら警戒すべきものでもある理由について説明していこう。

まずは数字を見てみよう


ビットコインの価格は、数カ月前の時点で1ビットコインあたり5万3520ドルだった(もう変わっているだろうが)。では、ドージコインの価格は? 想像できるだろうか? なんと、26セントだ。

この価格は、いかにもかわいらしいが、あまり本格的な投資先とは言えないドージコインの実態を表している。にもかかわらず、コインマーケットキャップのランクづけでは、ドージコインは時価総額(market cap)で7位の仮想通貨となっている(時価総額とは、市場が株の価値を理解するための素敵な用語だ)。

そう聞くと、「26セントの価値しかないものが、いったいどうして、価値の高い仮想通貨トップ10に食いこめるのか?」と思うかもしれない。実は、2013年の誕生から最初の数週間は、ドージコインの価値は0.0003ドルほどだった。つまり、1万分の3ドル未満だ。26セントと聞くと、たいしたことはないように思うかもしれないが、0.0003ドルから伸びているとしたら? すごいことだ。

お金とは「意味」だ


意味を持たないお金は、ただの紙だ。そして、私たち人間は歴史を通じて、その「意味」を、つまり価値を、きわめて多くのものに与えてきた。

たとえば塩は、冷蔵庫の登場以前は非常に価値の高いものだった。「worth one’s salt(自分の塩に値する、「給料に見あう働きをする」)」という言いまわしを聞いたことがある人もいるだろう。この表現は、塩が大きな価値を持っていた時代に由来している。そして、「サラリー(salary)」という言葉も、実は「塩(salt)」に起源を持つ。

そんなわけで、あなたからすれば価値を持たないように思えるからといって、ドージコインを一笑に付すわけにはいかない。私たち人間は、自分たちの通貨システムのなかでものの価値を決めているからだ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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