だが皆さんは、現地の収入基準を考慮した上でのパスポートの値段を考えたことはあるだろうか?
家計情報サイト「セービングスポット(SavingSpot)」は、各国のパスポート発行料金を調べ、いくつかの興味深い結果を導き出した。パスポートの価格の中央値は74ドル(約8100円)で、世界各国や先進国の間でそれほど大きな違いがなかった。
セービングスポットは、2021年1月の米ドル為替レートを用い、各国のデータを比較。パスポートのサイズ(ページ数)や有効期限が選べる国については、ページ数が最も少なく、有効期限が最も長い種類を選んだ。価格が最も高かったのはシリアのパスポートで、発行料金は約800ドル(約8万8000円)だった。
調査で焦点が置かれたのが、各国の国民にとっての値段の手ごろさだ。同じ1ドルでも、北米での価値とアフリカ中部での価値はもちろん異なる。そこでセービングスポットは、それぞれの国でのパスポートの入手しやすさを調べるため、その国の平均時給に基づき、発行料が何時間分の労働に値するかを計算した。
この観点から見てパスポートの価格が最も高かったのはマラウイで、価格は118ドル(約1万3000円)だが、労働時間に換算すると983時間以上となった。一方、最も安かったのはマダガスカルで、発行料金は無料だった。
欧州では各国間の差があまりなかった。欧州連合(EU)加盟国では、ルーマニアを除き、ほぼ全ての国で10時間未満の労働でパスポートが発行できる。ただ、EU市民は国が発行する身分証明書(発行料は通常、パスポートよりもずっと安い)だけでEU内を自由に行き来できるため、多くの人がパスポートを持っていない。