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Luis Alvarez/Getty Images

メンタルヘルス外来サービス大手の米ライフスタンス・ヘルス・グループ(LifeStance Health Group、本社アリゾナ州スコッツデール)が6月10日、ナスダック市場に上場した。初値は公開価格(18ドル)を上回る20ドルをつけ、時価総額は75億ドル(約8300億円)に達した。

同日の終値は21.90ドルだった。2017年創業のライフスタンスは米国内の27州で計370カ所のクリニックを運営する。各クリニックは不安障害やうつ病、摂食障害、双極性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、さまざまな精神症状の患者向けに、対面とオンラインの両方のサービスを提供している。

外来患者数は2019年には延べおよそ140万件だったが、2020年には一気に230万回に増えた。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で、不安障害やうつ病などを患う人が増えていることが背景にあるとみられる。

もっとも、マイケル・レスター最高経営責任者(CEO)によるとライフスタンスはパンデミックの前から成長軌道にあった。同社が運営するクリニックではコロナ前も患者が順番待ちになっていたが、現在は臨床医が3300人いてもなお順番待ちができているという。

レスターは、同社にとってのコロナは「対面にオンラインを組み合わせたハイブリッドモデルの構築を強いるもの」だったと述べている。

米国ではパンデミック前から、何らかの心の病を抱える成人が5100万人にのぼる一方、メンタルヘルスサービスの事業者は不足していた。また、連邦法で精神科医療と身体科医療の報酬の同等性が義務づけられているにもかかわらず、診療報酬に関する問題も長年続いてきた。

ライフスタンスは売り上げの9割超を200社あまりの医療保険会社とのネットワーク内契約から得ている。2020年の売り上げは3億7720万ドル(約415億円)で、最終損益は2億7090万ドル(約298億円)の赤字だった。2021年1~3月期の売り上げは1億4310万ドル(約158億円)と前年同期の約2倍に伸びている。

世界的なプライベートエクイティ(PE)ファンド、TPGキャピタルの系列企業が2020年5月にライフスタンスの株式の過半を取得し、新規株式公開(IPO)後も引き続き筆頭株主となっている。

レスターが長期的な目標に掲げるのは、営利目的の世界ではこれまで実現されたことのない「完全に統合されたケア」というモデルの構築だ。

ライフスタンスではその実現に向けて、既存のプライマリケアの診療所にメンタルヘルスの臨床医を置く仕組みを導入している。それぞれの診療は別々に運営されるが、プライマリケア医が同じ建物の精神科医や心理学者を紹介できるという。

レスターは、ライフスタンスの診療は将来も対人とオンラインが半々になると見込んでいる。「メンタルヘルスほどオンライン診療が向いていると考える人もいるでしょうが、わたしは100%オンラインというモデルは信じていません。臨床医と患者はやはり対面での関係を望んでいると思います」

編集=江戸伸禎

メンタルヘルス

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