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2021.06.23 08:00

日本にはユニコーン企業相当のスタートアップはたくさんある


例えば、ラクスルは2018年に412億円の公募時価総額で上場しましたが、現在の時価総額は約1500億円です。

フリーも2019年に932億円で上場し、今は約5000億円の時価総額がつけられています。

同年に359億円で上場したメドレーも、時価総額が約1500億円へ成長しました。

2020年上場のウェルスナビやプレイドも、公募時価総額はそれぞれ590億円および517億円でしたが、現在の時価総額は約2000億円および1200億円にまで上昇しています。

個人的に最も驚いたのは、2019年にBaseが137億円で上場したことでした。「日本のShopify」と期待されている同社が、米国だったら割高なシリーズAもしくは割安なシリーズB程度の条件でなぜ上場するのかと、当時は信じられませんでした。現在、同社の時価総額は約2000億円です。

これらの他にも、一般的な認識として「ユニコーン」どころか「スタートアップ」の定義からも外れてしまったせいで、注目を浴びることなく静かに上場していった企業の例は過去にたくさんあります。

つい忘れてしまいそうになりますが、IPOも資金調達手段の1つです。日本では新興企業に対する資金の動きが比較的少ないため、企業もかなり早い段階でIPOを使って資金調達せざるを得なかったに過ぎないのです。

ちなみに、海外投資家の中で日本のスタートアップ投資に最初に着手したのが上場株にも投資するクロスオーバーファンドだったのも、こうした背景が1つの理由です。早期上場できるという日本のスタートアップの特性を投資に活用してきたため、未上場の段階から有望な企業を探して投資する戦略を取り入れるのにも抵抗がなかったようです。

とはいえ、日本のスタートアップ・エコシステムも急速に進化してきています。

国内のスタートアップ投資は過去7年で7倍に成長し、これに伴いスタートアップが未上場市場で調達できる資金量も急拡大しています。

また、早期に上場するよりも、未上場のままでより多くの資金を調達し、将来的に数千億円規模のIPOを目指す企業も増えてきています。

おかげで、私たちCoral Capitalのような未上場に特化した投資家も、これまで逃してきた上場後の成長ポテンシャルに、未上場のままでようやく本格的にアクセスできるようになりました。

ちょうど先週も、Coralの投資先の1つであるSmartHRがシリーズDの資金調達ラウンドで156億円を調達し、時価総額が1700億円に達したことが公式に発表されました。彼らは正真正銘の「日本のユニコーン」になったのです。1000億円以上の企業価値がつけられている国内のスタートアップとしては10社目で、そのほとんどがやはり未上場の時点で100億円以上を調達しています。

このように調達額の大きさも記録的でしたが、今回はそれだけではなく、日本のスタートアップ・エコシステムで起こっている変化を表す意味でも重要な資金調達ラウンドでした。これはまだ、氷山の一角にしか過ぎないのです。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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