0歳からの「お金の話」

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経済の勉強として、大学生や社会人になったばかりの20代の人たちと新聞記事やニュースサイトの見出しで気になるものを集めて、意見交換をすることがある。

コロナ禍ということもあり、ネガティブなものが自然と多くなるが、1つ1つのニュースをデータに基づいて分析することはできても、それぞれが実は複雑に絡み合って繋がっているということにまで考えが及ぶ人は多くはない。

今回は、収入、労働、消費のニュースを、データに基づいて読み解きながら、そのつながりについて説明してみたい。

収入が減るという実感


まず収入関連のニュースについてだ。

厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によれば、今年3月の1人当たりの現金給与総額は前年同月比0.6%増となり、13カ月ぶりに上昇に転じた。しかし、この数字を額面通り受け取ってはいけない。

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出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」のデータを基にマネネが作成

なぜなら、賃金水準の低いパート労働者が職を失い、全体における割合が低下したことで、相対的に給与水準が前年を上回る結果となっただけだからだ。

そもそも、なぜそれまで12カ月間も現金給与総額が前年同月比でマイナスを続けていたのか。それはコロナ禍での感染拡大防止のために在宅勤務が広がり、残業代が大幅に減ったからである。

学生たちはこのニュースにはあまり実感が持てないようだったが、若手の社会人たちには残業代が支給される非管理職が多いため、彼らは自分の実感として理解したようだった。

しかも、このデータは他の点でも額面通り受け取ってはいけない。たしかに在宅勤務が普及することで残業代が減ったわけだが、実際にはネットがつながっている環境下では、勤務時間にカウントされない労働が発生している可能性もあり、実質の労働時間で割った時給はデータ以上にマイナスになっていることだろう。

次に労働関係のニュースについて見てみよう。

総務省が発表した4月の完全失業率は2.8%となり、前月の2.6%から上昇したが、前の年の同じ月と比較すれば、正規雇用、非正規雇用ともに雇用者数は増加し、非正規雇用に至っては12カ月ぶりの増加となっている。

とはいえ2020年の4月と言えば初めて緊急事態宣言が発出された月という事情があり、その前年の2019年の4月と比較すれば依然として減少している。

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出所:厚生労働省「労働力調査」のデータを基にマネネが作成

収入が下がったというニュースも取り上げたが、それならまだいいほうで、コロナ禍においては職を失う人が、非正規雇用を中心に非常に多くいたのだ。

学生たちはもちろん、残業代の減少については実感を持てた若い社会人たちも、このニュースはいまいちピンときていないようだった。そもそも自分たちは職を失っていないし、正規雇用であるため、当事者意識は持ちにくいのだろう。

しかし、いつまで他人事でいられるかはわからない。なぜなら、日本では年々非正規雇用の割合が上昇しているからだ。

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出所:総務省「労働力調査特別調査」のデータを基にマネネが作成

文=森永康平

新型コロナ日本経済
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