ストラウベルは6月14日開催の米エネルギー省のラウンドテーブルで、同省のジェニファー・グランホルム長官に対し、ネバダ州本拠の同社が「今後1〜2年で約500人を雇用し、リサイクル施設に数億ドルを投資する」と語った。
レッドウッド社は、ネバダ州スパークスにあるテスラのギガファクトリー近くに100エーカーの土地を購入し、現在の15万平方フィートの施設を40万平方フィート以上に拡張する意向だ。
同社は、2020年7月の資金調達で、アマゾンやブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ、カプリコーン・インベストメント・グループなどから4000万ドル(約44億円)を調達していた。フォーブスの推定で、ストラウベルは9億ドルにのぼる自身の財産から、数百万ドルを自らの会社に出資している。
長年にわたりテスラのCTOを務めたストラウベルは、バッテリーパックやモーターの設計に携わった結果、コバルトやリチウム、ニッケル、銅などの採掘が環境に与える影響を懸念するようになり、2017年にテスラに勤務しつつレッドウッド社を設立した。彼は2019年にテスラを辞め、レッドウッドの事業に専念している。
今年5月時点で、レッドウッド社の回収システムのキャパシティは、年間4万5000個のEVバッテリーパックをまかなう規模に拡大している。調査企業Benchmark Mineral Intelligenceは、1パックに必要なコモディティメタルの価格を約2000ドルと試算しており、レッドウッド社は年間9000万ドルの売上を創出できることになる。
レッドウッドの再生メタルの顧客としては、パナソニックやEV向けバッテリー企業の「エンビジョンAESC」などが挙げられる。
バイデン政権もEVバッテリー国産化を推進
14日のラウンドテーブルは、リチウムイオン電池やその材料の国産化を促進するバイデン政権の主導によるもので、ストラウベルと米国の電池メーカーの幹部らが参加した。
米国はバッテリー製造を拡大しているが、リチウムイオン・セルや重要な材料のほとんどは海外から調達している。エネルギー省のグランホルム長官は、「このまま輸入に頼っていては、米国はクリーンエネルギー技術の競争に敗れることになる。この市場は、今後の10年で最低でも23兆ドル規模に成長すると言われている。黙って見ているわけにはいかない」と述べた。
ストラウベルは、バイデン政権が提唱する国内基盤の構築には、バッテリーのリサイクルが不可欠だと考えている。レッドウッド社は、「経済的な競争力を持つリサイクル技術を発明した」と主張しており、ストラウベルは「当社のリサイクル材料はすでに、採掘されたコモディティメタルに対する競争力を持っている」と述べた。