コロナワクチンと月経 思春期前の子どもや女性への影響はある?

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月経がある人が、新型コロナウイルスのワクチンを受けた後に月経周期の変化を経験しているという報告が出始めたのは4月末のことだ。こうした報告は現在調査中で、現時点では裏付けに乏しい話でしかない。こうした体験をした人の間では、実際こうした反応は一時的なものに見える。

それでも、月経周期が変化する可能性があることから、思春期前の子どもを持つ親の間ではワクチンが子どものホルモンや月経周期の確立に影響するかどうかを疑問に思う親もいる。

これまでに分かっていること


米ストーニーブルック小児病院の小児感染症部長、シャーロン・ナックマンは先日、「新型コロナウイルスのワクチンが、女性の排卵周期に生物学的に関連しているという説を裏付けるデータはほぼない」と述べた。

ナックマンによると、臨床試験では月経停止に関する報告があったものの、これは全てのワクチンで起きていることで、特定のワクチンに関するものではなかった。

こうした報告は、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)を通して継続して提出されている。しかしナックマンは「現在では8000万本を超えるワクチンが接種され、接種を受けた女性の多くは妊娠する年齢の人だ。ワクチン投与により妊娠の確率が落ちたという報告はこれまでない」と説明した。

思春期前の子どもを持つ親、ワクチン接種を心配すべき?


産婦人科の有資格医で医学博士のシンシア・フリンは、女性の健康分野で20年以上の経験を持つ。彼女は、ワクチンにより思春期前の女の子の月経が遅れることはないと断言した。

「こうした事象が起きる科学的作用メカニズムは存在しない」とフリン。

ナックマンもそれに同意し、新型コロナウイルスワクチンによる抗体の形成と、排卵に関連した「ホルモンのカスケード反応」の間の関連性を示すデータは存在しないと述べた。

「とはいえ、ストレスが排卵と妊娠の可能性に影響することはよく知られている」とナックマン。「新型コロナウイルス感染症による心配事や孤立によるストレスで排卵が遅れるのは意外なことではない」

新型コロナワクチンは、長いDNA配列の一部である短い配列に似たDNA配列を提供することで機能する。ナックマンによると、このようなワクチンの仕組みが、ホルモンと月経周期の確立を乱すために必要な特定のタンパク質を形成することはどう考えてもない、と説明した。

「これは、文字を10文字だけ使って人気作家の小説を再現することに近いだろう」とナックマン。「いくつか言葉を作ったり、もしかしたら1、2文作ったりすることもできるかもしれないが、たった10文字だけで本を書くことはできない」
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翻訳・編集=出田静

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