都内で新感覚の中華料理店が急増中 「東京ディープチャイナ」の味わいかた

新宿歌舞伎町にある譚鴨血老火鍋の火鍋。注文すると、運ばれてくるのが、牛脂やトウガラシ、花椒が敷き詰められた大鍋だ

コロナ禍のなか、都内と近郊のいくつかのエリアで、新感覚の中華料理店が次々とオープンしている。

なかでも新宿は、いま中国火鍋の激戦区といえそうだ。中国の本格的な火鍋チェーンが、ここ数年、次々とフランチャイズ出店しているからだ。場所は歌舞伎町にほぼ集中している。主な火鍋店を挙げると、以下のとおりである。

譚鴨血老火鍋、小龍坎老火鍋、小肥羊、海底撈火鍋、澣花火鍋、蜀一火鍋、大重慶麻辣燙、三巴湯火鍋、天香回味 HUTAN、麻辣王豆腐

新宿に火鍋店が増えた理由とは?


中国火鍋とひと口にいっても、いろいろな種類がある。

伝統的なものとしては、北京の「羊のしゃぶしゃぶ」として知られる涮羊肉(シュワンヤンロウ)が有名だが、最近の出店で特に目立つのが、辛くシビれる「麻辣(マーラー)」味の本場、四川省発の火鍋チェーンだ。

2020年9月にオープンした譚鴨血老火鍋を訪ねると、店内はチャイナムードたっぷりの派手な装飾と真っ赤な照明に包まれ、日本在住の中国の人たちが楽しそうに鍋を囲んでいた。その光景は、四川省の成都や重慶の火鍋店で見たものと変わらない。

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真っ赤に染められた譚鴨血老火鍋新宿店の店内

実際、彼の地に行くと、夏でも火鍋を食べて汗をかき、暑さをしのぐ。冬は言うに及ばずで、呆れたことに、コートを着たまま野外で火鍋をつつく姿も見られるほどだ。現地の人たちは週に1度か2度は火鍋を食べるという。

四川火鍋の特徴はスープ(中国語では「鍋底」という)にある。牛脂や豆板醤(トウバンジャン)、乾燥トウガラシ、ショウガ、ニンニクなどに加え、シビれる辛さを持つ中華山椒の花椒(ホワジャオ)を大量に入れる。

下味のついたスープを沸騰させ、具材を入れてゴマダレなどにつけて食べる。煮え立つどす黒いスープのシビれや辛さ、熱さで流れ出す汗はハンパではない。

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スープを入れ、煮え立つと、表面に大量のトウガラシが浮かんでくる

真っ赤なトウガラシが鍋を埋め尽くすほどの量で入り、白く見えるのが牛脂だ。スープというより大量の油を煮ているようなものである。

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譚鴨血老火鍋は新宿歌舞伎町の中にある
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文=中村正人 写真=佐藤憲一

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