米国で「自己堕胎」のネット検索が急増、最高裁決定がきっかけに

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本記事執筆時点では、「abortion pills online Amazon(アマゾンで人工妊娠中絶薬をオンライン購入)」のような、オンラインまたは実店舗で市販されている人工妊娠中絶薬をめぐるさまざまな検索ワードが、全米で500%増加している。しかし、地域別や相対的な人気度についてはデータが乏しく、特定することはできなかった。

5月17日にこうした検索数が上昇した現象は、人工妊娠中絶の規制がより厳しい州で同様の検索が行われてきた広範なパターンをなぞるものだ。2020年のグーグルデータを見ると、「how to have a miscarriage(流産する方法)」「self-induced abortion(自己堕胎)」「home abortion(自宅で中絶)」といった、妊婦本人が行う中絶に関連した言葉は、オクラホマ州やミシシッピ州、ルイジアナ州などを中心に頻繁に検索されている。

最高裁では今後、「ドブス対ジャクソン・ウィメンズ・ヘルス(Dobbs v. Jackson Women’s Health)訴訟」が審理されることになる。この訴訟は、ロー対ウェイド判決によって保障された権利の再考を求めるもので、人工妊娠中絶を巡るものとしてはここ数十年来で最も重要だ。


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1973年のロー対ウェイド判決は、胎児が子宮外で生存可能となる以前(通常は妊娠24週まで)に中絶する権利を法制化した画期的な判決だった。ドブス対ジャクソン・ウィメンズ・ヘルス訴訟の争点は、ミシシッピ州が2018年に定めた、妊娠15週以降の中絶を禁止する法律が合憲であるかどうかだ(ミシシッピ州法は、ロー対ウェイドの判決に反するとして、現在は法施行の停止という仮処分が下されている)。

妊娠15週という数字は米共和党が訴えている線引きで、ロー対ウェイド判決と真っ向から対立している。これをきっかけに、最高裁がロー対ウェイド判決を再度検討することにつながる可能性がある。

多くの人が望んでいる(または恐れている)のは、最高裁判事9人のうち過半数を占める6人の保守派がこれを機に、ロー対ウェイド判決が定めた判例を無効にしたリ、弱めたりすることだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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