接種を終えた人が人口の半数を超えたハワイで、従来の生活に戻るまで、今後どのような道のりとなるのだろうか。また昨年は中止となったホノルルマラソンは、今冬の開催に向けて事前登録が始まり、活気あふれるハワイ復活への期待感が高まっている。
(前回の記事:ハワイで接種率約6割に 日本の新型コロナワクチン事情とは決定的に違うこと)
ハワイ州民、州外への旅行規制が緩和
まずハワイの現状についてだが、直近7日間平均で1日の新規感染は51人(6月14日時点)、死亡者は1日数名程度と、かなり低い状態を保っている。ワクチン接種によって感染拡大が確実に収まり、経済活動が安定してきたことを受けて、5月11日から州民を対象に「ワクチン・トラベル・プログラム」が開始となった。これはハワイ州でワクチン接種を完了してから15日が経過した人は、ハワイ州内の島間での移動で、隔離や事前検査が免除される制度だ。実質的な「ワクチンパスポート」の試験導入と言える。
そしてこのプログラムが6月15日より、州外への移動も認められ、対象が拡大された。現在、州外からハワイに到着するすべての人に、出発前72時間以内に新型コロナの検査を受けて陰性を証明すると隔離が免除されるシステムが導入され、事前検査を行っていない人には10日間の自己隔離が義務付けられている。
一方、接種を完了したハワイ州民は、州外へ旅行してハワイに戻る際、隔離や事前検査が免除される。夏休みシーズンに入り、米国本土へ旅行する人が増える季節のため、ハワイ州民にとっては嬉しい規制緩和となった。
州知事が「接種率60%、70%」で規制緩和の指針を発表
米国本土からの旅行客数はコロナ前とほぼ同じ水準まで回復しており、ハワイでの暮らしは従来の形にかなり近づいていると感じられる。だが、ハワイのビジネスごとに細かく設けられた規制は、依然として継続中だ。例えば、屋外でのマスク着用は不要になったが、屋内では義務化が続いている。またレストランでは入店客数が収容人数の最大50%に制限されており、観光客が多く訪れる地域では、旅行客がレストランの前に行列を作っているケースが報道されている。それに対しマウイ郡長は5月末、レストランの入店客数を収容人数の75%まで増やすようハワイ州知事に求めていた。
ロックダウンが行われたときに比べると、経済活動はかなり活発になってきているが、従来のレベルまで戻すためには、いまも続く規制緩和が欠かせない。そこで、これらの規制緩和の指標として、ハワイ州のイゲ知事は、2回とも接種を完了した人の割合が60%と70%に達した段階を2つのベンチマークとして新たに設定した。それぞれの主な内容は以下の通りだ。
▼接種率60%での緩和
・「ワクチン・トラベル・プログラム」の対象をアメリカで接種を完了した人に拡大
・レストランの入店客数を収容人数の75%、グループは最大25人に拡大
・集会の人数は、屋内では25人、屋外では75人に拡大
▼接種率70%での緩和
・新型コロナに関わる全ての規制撤廃