林は自身の幼少期を振り返って「何にでも好奇心旺盛だった」というが、なかでも高校の選択授業で学んだプログラミングに没頭した。「1人がやる仕事が100万人やそれ以上の人に影響を与えられる、それまで見たことがないようなすごい仕事だ」。
大学からは独学でプログラミングの技術を磨き、この時身につけたスキルがDcardの基盤を構築するためのものとなったという。
「私が母校の国立台湾大学に通う決断は、故郷の台南に残ってほしいという両親の期待に反するものでした。そのため私は両親の負担を軽減させられるよう、学費を自分で支払いたいと考えました。しかし初めはアイデアがなく、一文無しでインスタントラーメンを食べる日々でした。
しかしある時、所属学部のためにウェブサイトを作るよう依頼され、私はサイト作りを勉強し始めました。サイトを完成させるとその評判が広まり、多くのウェブサイト制作に関わり、学費と小遣いを稼げるようになったのです。学生生活のなかで20以上のサイトを作りました。
私には姉が4人いるため両親は年配です。なので自分が成果を上げて家族を安心させたいという思いがあり、それは起業かなと漠然と思っていました。でも実際起業してみると、それはそれで大変だなと。いまは運よくうまくいっていますが」
2015年、卒業と同時に起業を決意。しかし新人CEOにとって、創業初期の日々は辛いものだった。現在でこそ約200人を抱える会社のトップとしてマネジメントを行うが、当初は会社の成長に合わせて増える社員とどのように向きあうか、悩みが尽きない日々。
そんなある日、同僚に言われた「あなた仕事してて辛いですよね?」という言葉が、事業と人生のターニングポイントとなったと明かす。
「それを聞いてハッとしました。会社のリーダーである自分が辛いところを見せるのは良くないと思い、そこから自分を変える決心をしました。この一言によって私はより幸せになったのだと思います」
Dcard 台湾オフィス
林にU30世代へのアドバイスを聞くと「学習するスピードを早くすること」と答える。同僚からの言葉を受け、林は熱中していたプログラミングの領域以外にも、文学や美容、数学などあらゆるジャンルの本を年間300冊以上読むようになったという。さらに日々の仕事に凝り固まっていた生活から規則正しくリフレッシュできる生活を心がけ、研ぎ澄まされた判断力を養うことを身につけるようにした。
「このような私の変化は、事業全体のステータスの変化を反映したものだと言えると思います」