Forbes JAPAN Web編集部


Dcardは個人を世界と繋ぎ、新たなコミュニケーションを生むプラットフォームだ。林自身が広く世界と繋がり、そして社員をはじめとした人との繋がりを再認識したことは、ここまでの事業の飛躍を支えるものとなったのかもしれない。

「人間には繋がりをもちたい、コミュニケーションを取りたいという欲求が常にあると思います。文字を発明したり、手紙を書いたり、サロンで討論したり。デジタル時代になり、形や機能は変わったが、基本的な欲求は変わっていない。だから科学と人類のバランスをとるのがすごく重要で、自分の会社のサービスは人に温かみを感じさせられているかを注視し、人間的な部分を忘れていないことがこれまでの成功の決め手となっていると思います。これはある意味、文化を醸成することだとも思う」

デジタル先進国・台湾から世界へ


台湾は近年、デジタル担当相のオードリー・タン氏などの手腕により、デジタル先進国へと進化している。台湾発の世界的企業を目指す上で、国内のデジタル化の現状をどう見ているのか。

「台湾では公共的なトピックになると、さまざまなサービスがオープンサービス化し、みんなで一緒にシステムを作っていく傾向があります。オードリー・タンもまさにそうした傾向を進める代表的な人物で、コロナ禍での取り組みもまずは民間から行って、政府がその後についてサポートしていく例がたくさんありました。そうした点が台湾の強みだと思う。

一方で台湾は、TSMC社をはじめとした技術力に裏付けされたハードウェアが強いにも関わらず、世界中の人が台湾発だと知るサービスがいまだにありません。私たちがぜひ世界的に認知されるソフトウェアの会社になりたいと思っています」

さらに今後の展望についてこう語る。

「Dcardのスローガンは『全ての人が共感をここで求められること』です。『全ての人』に利用してもらえるよう、いずれは世界中の人にサービスを広めていきたいと思います。さらに『共感』に関してですが、現代においては人間は物質的な欲求にはいずれ満足していくだろうと思います。一方で心の中の欲求に対する渇望はどんどん高まっていく。なので心の中の『共感』を求める人たちに、ここでは自分と同じ考えをもっている人と触れ合えるという場を提供していきたい」

台湾本国では人気の高まりを受け、大学生以外もサービスを利用できるよう拡大している。日本でも将来的に、他の年齢層にも拡大することを視野に入れているという。

台湾発、世界を志す企業を率いる経営者の素顔は、飛躍した発想をもつ天才ではない。彼がもつ最大の能力は、自分の目の前にある課題や、目の前で向き合う人がもつ思いを引き出し、それらに徹底的に寄り添おうとできることなのかもしれない。

文=河村優

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