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2021.06.22

テレワーク革命の明暗と「ハイブリッドな働き方」に移行したグローバル企業

働き方革命をより良い方向へ(Photo by Unsplash)

昨今の働き方革命は包摂的な社会を実現する一助となるのか、各社の例とともに世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・ワクチン接種プログラムが本格化し、企業では、今後の従業員の働き方を再定義する動きが見られます。
・テレワークの経験は、自宅の広さ、育児の負担、仕事の性質、個人の気質など、それぞれの状況によって異なります。
・オフィスの再考と新しいハイブリッドワークモデルは、社会的格差を解消し、すべての人にとって包摂的な復興をもたらすきっかけになるかもしれません。

未来のオフィスのあり方について、世界中で議論が巻き起こっています。パンデミック(世界的大流行)により、世界に12億5000万人いる「ナレッジワーカー(知識労働者)」の働き方が一変しました。この1年半の間、自宅のパソコン画面の前で仕事をこなしてきた人たちです。

ワクチン接種プログラムが本格化し、一部の国では経済活動が再開されるなか、企業では、今後の従業員の働き方を再考する動きが見られます。

2020年、全世界の雇用市場は、2億5500万人分のフルタイムの雇用、推定3.7兆ドルの賃金、世界のGDPの4.4%を失ったと言われています。これまで、テレワークは一部の高額所得者のみに許されるものでしたが、オフィスから人がいなくなったことで、都市の中心部は閑散とし、都市経済に大きな影響を与えています。

カフェ、クリーニング店、軽食店など、オフィスで働く人を対象としたビジネスも停滞しています。通勤が減り自宅で仕事する人が増えたことで、都市のモビリティの未来に大きな疑問が生じています。都心部の住宅や商業施設の賃料は下がり、ホームオフィス機器の売上は急増、その一方で人々がかける交通費は減るなど、消費パターンが大きく変化しています。

テレワーク普及による社会的変革


1970年代初頭に「テレコミューティング(在宅勤務)」という言葉が生まれたときから、その兆しはありました。デジタル化は、働き方の新時代を約束していたものの、文化的な改革は立ち遅れていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、状況が一変したのです。

いまや、「9時から5時まで」の勤務モデルは衰退の一途をたどっています。在宅勤務は24時間を自由に使える(見方によっては拘束でもある)ということで、上司は労働時間の長さや就業していること自体ではなく、生産性や結果で従業員を評価せざるを得ない状況です。

マッキンゼーが実施した「ハイブリッドワークの未来に対する最高責任者の洞察」調査によると、テレワークを導入した組織の67%で、生産性、顧客満足度、従業員のエンゲージメント、ダイバーシティとインクルージョンが向上したことが分かりました。

並行して進んでいる「ギグ・エコノミー」は、一時的な停滞は見られたものの、依然として好調です。時間や場所に縛られず、こなした仕事に対して報酬が支払われるという傾向が強まっています。

マッキンゼー
イメージ: McKinsey & Company
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文=Gayle Markovitz, Partnerships Editor, World Economic Forum

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