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2021.06.16 08:30

「停滞する自動運転開発」をAIで革新する新興企業Waabiの挑戦

Getty Images

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ウーバーの自動運転車開発プロジェクトを指揮したスペイン出身のAI研究者、ラケル・ウルタスン(Raquel Urtasun)が設立した「Waabi」が、シリーズAラウンドで8350万ドル(約91.5億円)を調達した。同社は、AI(人工知能)を用いた新たなアプローチで自動運転テクノロジーの商用化を目指している。

カナダのテックスタートアップとしては最大規模の調達額となったこのラウンドを主導したのはコースラ・ベンチャーズで、他にはウーバーやRadical Ventures、8VC、OMERS Ventures、BDC CapitalのWomen in Technology Venture Fundが参加した。また、ウーバーの自動運転部門「Uber ATG」を昨年12月に買収したオーロラ(Aurora Innovation)もマイノリティ出資を行った。

さらに、スタンフォード大学のフェイフェイ・リやトロント大学のジェフリー・ヒントンとSanja Fidler、カリフォルニア大学バークレー校のPieter Abbeelを含むAIの専門家たちも出資に参加した。

Waabiは、第一段階として長距離トラックの自動運転化を目指すが、開始時期については明らかにしていない。また、今回のラウンドでの評価額や、取締役会メンバーについても公表していない。

同社の社名のWaabiは、カナダの先住民族であるオジブワ族の言葉で、「先見の明を持つ者」を意味する。ウルタスンによると、ウェイモやクルーズ、Zoox、Argo AI、TuSimple、Auroraなどの自動運転企業が伝統的なロボティクス(機械工学)を用いているのに対し、Waabiは最新のAIツールを重点的に活用することで差別化を図るという。

ロボティクスの場合、膨大な量のデータを使って無限のタスクを解決したり、膨大な距離を走行してソフトウェアをトレーニングする必要がある。

「Waabiは、ディープラーニングや確率的推論、複雑な最適化などを組み合わせた次世代のAIアルゴリズムを用いることで、少量のデータセットから一般化し、学習することを可能にする」とウルタスンは話す。Waabiは、閉ループシミュレーションシステム(closed-loop computer simulation system)を開発し、自動運転ソフトウェアが様々な地形に対応できるようテストとトレーニングを行うことを可能にした。

「我々のアプローチでは開発を大幅に削減できるため、大きな資本を必要とせず、路上走行もそれほど必要としない。より自動化されたペースの速いソリューションによって、格段に複雑なシステムを開発することが可能になる」と彼女は話す。
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編集=上田裕資

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