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(c) Vertical

英国のeVTOL(電動垂直離着陸機)のスタートアップ「Vertical Aerospace(バーティカル・エアロスペース)」は6月11日、22億ドルのSPAC(特別買収目的会社)との合併取引により、米国で上場すると発表した。これにより、同社の創業者のステファン・フィッツパトリック(Stephen Fitzpatrick)はビリオネアになる見通しだ。

英国の新電力最大手Ovoの経営者として知られるフィッツパトリックは、Vertical社の筆頭株主であり、同社が2021年後半にSPACのBroadstone Acquisition Corp.との合併を完了した際に、10億ドル以上の資産を持つことになる。

Vertical社の電気航空機VA-X4は滑走路を必要とせず、「ほぼ無音」で最高時速200マイル(約320キロ)で飛行可能で、航続距離は100マイル(約160キロ)強。4人の乗客と1人のパイロットが搭乗可能とされている。

Vertical社は11日、アメリカン航空やAvolon社、ハネウェル社、ロールス・ロイスに加えて、マイクロソフトのベンチャーキャピタルM12、投資マネージャーの40 North、欧州のインターネット企業Rocket Internet SEが出資に参加することを発表した。

同社は、アメリカン航空やヴァージン・アトランティック航空、航空機リース会社のAvolonとの間で、提携や予約注文に関する契約を結び、最大で1000機、40億ドル相当の航空機の予約を受注すると述べている。

合併相手のSPACであるBroadstone社は、保守党の献金者でパブチェーンのオーナーであるヒュー・オズモンドらが設立した企業で、ニューヨーク証券取引所に上場している。

フィッツパトリックの最大の支援者の一人は、英国のリチャード・ブランソンで、ヴァージンアトランティック航空は、Vertical社から最大150機のeVTOLを購入する計画だ。また、米国では、アメリカン航空が最大250機、Avolonが最大310機の予約購入に合意している。

ベルファスト生まれのフィッツパトリックは、ドットコムブームの末期にオンライン不動産広告の事業を立ち上げたが失敗し、ソシエテ・ジェネラルやJPモルガンにトレーダーとして勤務した後、2009年にOvoを設立した。

英国初の「新電力のビリオネア」へ


Ovoは、太陽光や風力、水力、潮力による電力を消費者に提供しており、2019年の売上高は、前年比40%増の19億ドルに達した。2019年2月に、三菱商事はOvoの評価額を14億ドルとし、20%の株式を取得した。また、今年4月には、ゴールドマン・サックスが評価額28億ドル以上で、Ovoへの出資を検討中と報じられた。フィッツパトリックは同社のCEOとして、約64%を所有している。

フィッツパトリックは、2018年にエネルギー・プラットフォームのKaluzaを設立し、世界中のエネルギー供給会社のコスト削減を支援しようとしている。Kaluzaは、サプライヤーのグリッド運用を支援するリアルタイムのクラウドプラットフォームを名乗っている。

2021年後半にVertical社のSPACとの合併が完了すれば、フィッツパトリックは英国初の「グリーンエネルギーのビリオネア」になる見通しだ。

編集=上田裕資

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